スマホがサイフ代わりになる「スマホ決済」丸わかり

【2019年6月18日更新】 スマートフォン(スマホ)決済は乱立していてよく分からない――。そうした人の悩みの一助となるよう、二つの軸で、スマホ決済業界をまとめた。

後発の「バーコード決済」を中心に盛り上がる

 複数のスマホ決済を使い分けると、よりお得に買い物できるが、おおむね3行以上のオンラインバンキング対応の銀行口座もしくは最低3枚以上のクレジットカードを保有し、毎月、自身の裁量で自由に使えるお金があり、さらに自宅や職場、よく行く買い物エリアに利用可能な店舗が複数ある、といった条件を満たしていないと、スマホに複数のアプリを入れるメリットは感じられないだろう。事前にチャージが必要なプリペイド型が多く、それぞれチャージする必要があるからだ。

 また、携帯電話料金と合算して支払い可能な「キャリア決済」が可能な「d払い」「au Pay」を除くと、「本人登録」と呼ばれる銀行口座の登録が精神的、物理的なハードルとなっている。

 iPhoneAndroidスマホの両方もしくはどちらかで利用できる、主要なスマホ決済サービスを提供企業の主力事業・成り立ち別に分類すると、おおむね「キャリア系」「独立系」「サービス発展系」「銀行・クレジットカード系」に分かれる。
 

 方式としては、スマホの画面に表示されたQRコード・バーコードを店員が読み取り機で読み取るか(ストアスキャン方式)、店頭に掲示された専用QRコードをスマホで読み取り(ユーザースキャン方式)、利用者自身で支払い金額を入力して決済する「バーコード決済」と、「おサイフケータイ」が利用可能なFeliCa搭載スマホやApple Watchなどを読み取り機にかざすだけの「電子マネー(非接触型決済)」に分かれる。非接触型決済の方がスピーディに決済できるが、昨年末以来、注目を集めているのは、事業者側のメリットが大きい「バーコード決済」だ。
 
2種類の読み取り形式があるバーコード決済。非接触型より全般的に決済に時間がかかり、
特にユーザースキャン方式(右)は面倒だ

 利用者にとって、バーコード決済の魅力は、同じ支払金額で多く購入できる、最大20%、最大50%といった「高額還元」だろう。例えば、21時閉店で連日20時から見切り品が20%オフとなるスーパーの場合、最大20%還元キャンペーン期間中ならば時間帯を問わず、決済方法を現金からスマホ決済に変えるだけで全品20%オフになる。値引きを狙ってわざわざ20時に買いに行く必要もなくなり、「食費の節約」と「時短」の一挙両得だ。

現金払いより得だが、還元を待つ「ゆとり」が必要

 主要なスマホ決済サービスを、還元方式別に分類すると、圧倒的に「ポイント還元」が多い。即時割引のスマホ決済は「Origami Pay」だけ。なお、すでに終了しているが、「じぶん銀行スマホデビット」の「じぶん銀行スマホデビット新規発行&ご利用キャンペーン」は、5月7日から23日までのキャンペーン期間中、支払額に応じ、最大20%を現金でキャッシュバックするという内容だった(詳細はこちら→https://www.bcnretail.com/news/detail/20190516_119017.html)。

 各スマホ決済サービスの還元率が全く同じと仮定すると、お得度は「現金還元(口座振り込み)>即時割引>独自ポイント付与(永久)≒ポイント還元(永久)>独自ポイント付与(期間限定)≒ポイント還元(期間限定)」の順。期間限定ポイントだと、使い忘れて消える可能性があり、一定の比率で使われずに消滅しているからこそ、大幅ポイント還元キャンペーンが成立していると考えられる。
 

 金利0.15%(普通預金0.001%の150倍)の円定期預金として、現金10万円を1年間銀行に預けると、税引き後の利子は121円。対して、例えば、常に最大3%還元の「PayPay」で支払うと、4000円の支払いで、ちょうど120円戻ってくる。4%、5%、7%と還元率がアップするにつれ還元額は増え、20%還元キャンペーン期間中なら同じ4000円の支払いで、ポイントやチャージ残高として1200円相当が戻る。
 
円定期預金で着実に少しずつ殖やすより、ポイント還元・割引のある決済サービスを利用して、
同じ支払額でお得に買い物したほうが家計にとってプラスになるだろう
 
Origami Payとウォレットアプリ「Kyash」を組み合わせて使うと、常に合計5%以上の高還元となると、
キャッシュレス関連情報サイトで話題だ

 今の超低金利下で利子120円を得るために必要な預け入れ金額・期間と、スマホ決済で120円相当のチャージ残高付与(ポイント還元・割引)を得るために必要な事前準備にかかる時間を比較すると、差は一目瞭然。最新の家計節約術は、スマホ決済サービスの積極的な活用だといえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)