日本のキャッシュレス決済の普及状況はややいびつだ。2016年時点で、米国や中国と比べて2倍近い数のキャッシュレス決済手段を保有しているにもかかわらず、普及率は両国の半分以下。手段が多くてもキャッシュレス化は進んでいない。この状況について、キャッシュレス推進協議会の福田好郎事務局長は、「店舗においては三つの壁がある」と指摘する。

キャッシュレス推進協議会の
福田好郎事務局長

 日本は、クレジット/デビットカードや電子マネーなど、1人当たり8種類のキャッシュレス決済手段を保有しているにもかかわらず、普及率が19.8%という数字に落ち着いている。他方、米国は決済手段を1人当たり4種類を保有しており、普及率が46.0%。中国も1人当たり4種類を保有しながら、普及率が60.0%。日本と大きく差が開いている状況だ。
 
1人当たりのキャッシュレス決済手段保有数の国際比較
 
キャッシュレス決済の普及率の国際比較

 6月4日と5日に東京・有楽町で開催された「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」で講演したキャッシュレス推進協議会の福田事務局長は、「日本はキャッシュレス決済手段が豊富で、いわば“キャッシュレス決済手段の先進国”。しかし、普及は進んでいないのが、我が国の特徴。これには理由がある」と話す。

 まず、一つが導入コストだ。レジへの組み込みや専用端末の採用には、決して安くない費用がかかる。中小・小規模企業企業によっては、投資が難しいという声が上がってる。次に、決済手数料も無視できないコストだ。現金を1万円受け取る場合は発生しない手数料が発生してしまう。最後が、資金化までのタイムラグ。キャッシュレス決済で得た売り上げの入金が、半月後、1か月後になってしまう可能性がある。中小・小規模事業者にとっては厳しい条件だ。
 
店舗のキャッシュレス化を阻む3つの壁

 これらの問題の解決に向け、キャッシュレス化の普及を促進するために考案されたのが、「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)」だ。10月の消費増税対策として、登録した決済事業者と中小・小規模事業者向けに実施する支援策で、加盟店決済手数料の補助や、消費者への還元サポート、さらに決済端末を無料で導入できるようにするなど、さまざまな方面からキャッシュレス化を促進する。
 
会場にはキャッシュレス化をサポートする企業も出展していた

 福田事務局長は、「中小・小規模事業者にとっては、完全なキャッシュレス化は難しいと考えている。ただ、レジ締めや違算処理などの業務を短縮できたら、どのようなことができるかを考えるきっかけにしてほしい。自分の時間を増やすのか、営業時間を延ばすのか、できることは増えるはず。今回、さまざまな補助を用意している。これまでためらっていた人も、チャレンジしてほしい」と期待する。今後も、手段の増加だけでなく普及も進むよう、さまざまな方法を模索していく姿勢だ。(BCN・南雲 亮平)