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経産省の担当者に聞いた! 乱立するスマホ決済の今後の行方は?

 【なぐもんGO・20】 昨年からスマートフォン(スマホ)決済サービスが急増している。それに伴い、各社のキャンペーンが並走して、「今この店舗では、どのサービスが使えて、どれが一番お得だったか……」などと考え込んでしまうケースが増えてきた。サービスの“乱立”ともいえるこの状況は、今後、どのように収束するのか。経済産業省の担当者に尋ねてみた。

乱立するスマホ決済のなかでどのサービスが勝ち残るのか

 「LINE Pay」「PayPay」「楽天ペイ」「au PAY」「メルペイ」「7pay」「FamiPay」など、毎日のように新しいスマホ決済サービスが発表され、これから登場するサービスも含めれば、すでに20以上のサービスが存在する。

 現在、対応する店舗数と決済手段の種類などが差異化ポイントの一つであり、消費者の混乱を招く要因にもなっている。小売店側も、より多くのユーザーに来店してもらおうと、あらゆるサービスに対応しようとする競争が過熱している。

 この混乱を緩和すべく、キャッシュレス推進協議会はQR・バーコードの統一仕様を策定して公表。ガイドラインの整備などを通して、選択肢が増えすぎることで、かえってキャッシュレス決済の普及を阻害しないように配慮している。店舗にとっても、サービスごとにレジ操作を変えずに済むのなら、その方が断然に効率的だ。

 ただ、混乱への対策を打っているとは言え、サービスが多い状況は変わらない。LINE Payの長福久弘取締役COOも、「乱立した状態が続けばスマホ決済が一時のブームで終わってしまう危険がある」と危惧する。だが、この先もずっとさまざまなサービスが乱立しつづける、というわけではなさそうだ。
 
LINE Payの長福久弘取締役COO(左)とメルペイの青柳直樹代表取締役

 経産省の商業情報政策局 商務・サービスグループ 消費・流通政策課の永井岳彦課長は、「経済の流れに任せていれば、合併や吸収などが起こり、収束していく」と今後の展開を予想する。
 
経済産業省の商業情報政策局 商務・サービスグループ 消費・流通政策課の
永井岳彦課長

 例えば、クレジットカードは、ビザやマスターカードなど五つの国際ブランドから、複数のカード発行会社がライセンスを受け、事業を展開している。このように、スマホ決済も大きなアライアンスの中に複数のサービスがある、という状況になるという読みだ。

 確かに、サービス同士がつながる事例も増えてきた。LINE Payとメルペイは今夏をめどに加盟店を相互開放する「MOBILE PAYMENT ALLIANCE(仮称)」を結んだ。同アライアンスは、あらゆる決済サービスの参加を期待している。

 他方、楽天ペイのシステムに同乗するau PAYも、今夏には楽天ペイの加盟店でも使えるようになる。複数の決済サービスが一つの決済基盤に乗り込むようになれば、加盟店の相互開放も進むはずだ。

 また、ポイント還元などのキャンペーン合戦が続くうちは体力勝負になり、販促リソースなどで体力がない小さな規模のサービスは、撤退を余儀なくされるケースも考えられる。たとえ、生き残ったとしても、今とは大きく形を変えている可能性も高い。

 キャッシュレス推進協議会が4月11日に公表した「キャッシュレス・ロードマップ」では、「消費者自らキャッシュレスツールを選択して利用できる環境整備」や、「運用時におけるオペレーション負担の削減」が今後の課題としてあげられていた。課題をクリアし、スマホ決済を定着させるには、各社の結束が欠かせない要素になりそうだ。(BCN・南雲 亮平)