スマートフォンなどの携帯電話の端末料金と通信料金を分離する「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が3月5日、閣議決定した。石田真敏総務大臣は「通信料金の低廉化が進む」と語った。家電量販関係者からは「人気のiPhoneが売れなくなり、携帯電話の販売が落ち込むのは明らかだ」と警戒する。

石田真敏総務大臣(総務省HPより)

 18年8月の菅官房長官による「携帯代を4割程度下げる余地はある」との発言により、海外と比較して高いとされる国内の携帯電話料金にメスが入った。料金の高止まりに大手携帯キャリア3社に対する批判が高まり、各社の決算が軒並みよかったことから「もうけすぎ」との声も噴出した。

 その前の5月から総務省がいわゆる「4年縛り」に関するガイドラインの改正を進め、それと歩調を合わせるように、6月には公正取引委員会が大手キャリアの「4年縛り」が消費者の選択権を事実上奪い、独占禁止法上の問題になる恐れがあるとする報告書を発表した。

 報告書の中では、景品表示法(景表法)上の恐れも指摘。本体価格で端末を販売した実績がないにもかかわらず、根拠のない価格からの値引き額や値引き率を強調する点に、消費者に著しく安いと誤認させる問題の可能性を指摘したのだ。

 キャリア各社の料金プランが複雑なことも、携帯端末と通信料金の完全分離の議論を後押しする。消費者が誤認しない、わかりやすい料金プランの提示をうながすため、11月には総務省が「緊急提言」を発表。通信と端末の料金完全分離と代理店の届出制導入を提言した。
 
総務省の緊急提言で示された料金プラン見直しイメージ

 一方で、ある家電量販の本部からは「人気機種のiPhoneが売れなくなり、販売が大きく落ち込むだろう」という懸念の声が上がる。「販売量のピークを迎える春商戦は駆け込みが起きるが、その後の落ち込みをカバーするだけの商品が見当たらない」と政府の方針に対する恨み節すらのぞかせる。来期の大きな経営課題が突き付けられた形だ。

 石田総務相は「利用者が通信料金のみで、携帯電話事業者を比較・選択でき、競争の進展を通じて通信料金の低廉化が進む」と語るが、一方で、端末については「携帯電話事業者や販売代理店による割引等が今より縮小することで、特に高価格帯の端末のニーズが減少することが想定される」と、ある程度の市場の落ち込みは織り込み済みのようだ。利用者が通信料金と端末代金を別々に正確に理解できるようになることで、利用者の利益が向上し、通信サービスと端末の双方の競争環境が促されるとの考えを示した。(BCN・細田 立圭志)