Instagramでハッシュタグ「#間取り」が付いた投稿は少なくない。最近知った画像SNS「Pinterest」で「間取り」のピンをフォローしたところ、毎日、間取り画像が山のように届くようになった。

画像SNSのInstagramやPinterestは、参考になる間取り例の宝庫だ

 昨年7月、日本初の注文住宅の間取り作成サービス「madree」がスタートした。長年、建築業界に携わってきたメンバーが<もっと家づくりの満足度を高めたい!><理想の家づくりをサポートしたい!>という強い思いでスタートしたという。

 サービス開始当初は愛知県のみだった対応サービスエリアも順次拡大。現在は、東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉、福岡、静岡、三重、千葉、宮城、広島、岐阜、佐賀の13都府県で利用できる。Instagramの公式アカウントでは「madree」のサービスサンプルともいえる「間取り」をコメント付きで公開しており、そのコメントは日々家事がしにくいと感じ、「家事動線」「生活動線」を気にかけている人なら誰でも参考になるはずだ。
 
2018年7月31日にスタートした日本初の間取り作成サービス「madree」。
スタジオアンビルトがニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーション・プログラム
「50M PROGRAM ニッセイアクセラレーション」に採択され、開発した

 1回の依頼で、5~10案の間取り案が提案される有料サービスは初回9800円。悩んだ末に思い切って頼んだところ、プロの建築家から計6案が届いた。しかし、100%満足できるものはなかった。要望シートで「テレビはダイニングに設置」と記載していたにも関わらず、テレビをリビングに設置するパターンが多く、書斎の位置が想定とは異なるなど、なかなかセオリーを外れた設計は難しいのだと痛感した。
 
プロが作成したオリジナルの間取り案(リビング部分を抜粋)

家電の進化・多様化に追いついていない

 2019年、「間取り」が注目を集めると予測する。理由は2つ。Instagram、Pinterestの「間取り」タグの多さに着目した新サービスが登場し、前述の「madree」とあわせてネット上で人気になると思うからだ。

 もう一つは、家電はもちろん、住宅設備も各種センサーや無線LAN、Bluetoothなどを搭載し、インターネットにつながる「IoT住宅」が注目を集め、注文住宅やIoT対応新築マンション脚光を集める一方、立地を重視すると安くても7000万円超と高額で、なかなか手が出せないため、既存の中古戸建・中古マンションをリフォームしてIoT化するニーズが高まると予想するからだ。

 最新冷蔵庫は幅68cm。さらに壁や棚から、背後や左右を開ける必要がある。電子レンジは奥行き50cm弱だが、最近の新築マンション・建売住宅ですらカッブボードの奥行きはそれ以下だ。昔はキッチンに置く家電は冷蔵庫と炊飯器、電気ポット、オーブントースターだけだったかもしれない。しかし最近は、オーブントースターより大型化したコンベクションオーブン、ミキサーまたはジューサー、自動調理鍋、人によっては精米機と非常に増えている。特に自動調理鍋は設置場所の確保が大変だ。

 ハイエンドモデルなら外出先から操作できるロボット掃除機は、フローリングで、各部屋に段差のないフラットな設計のほうが使いやすい。進化する家電製品に「住宅」が追いついていないのだ。一方、最新の有機EL/液晶テレビは壁掛け設置が以前ほど難しくなく、配置の自由度が増した。
 
ベゼルも本体も薄くなったテレビは、壁掛け設置も可能だ
(ソニーの4K液晶テレビ「ブラビア」の設置イメージ)

 以前は、テレビはリビングに置くものだった。設置スペースを取るため、そこにしか置けなかった。ブラウン管から液晶にシフトし、薄くスリムになったので、2台目として寝室や独立型キッチンに置くケースも増えたと思われる。

 しかし、ここにきて、有料動画配信サービスが充実してきた。動画配信は、スマートフォンやタブレットなどのパーソナルなデバイスで視聴したいニーズが高いため、くつろぎのリビング空間は、従来のテレビとソファーではなく、タブレットとソファーになると確信している。そうなるとリビングにはさほど広さはいらなくなり、代わりにキッチン・ダイニングを広くとることができる。
 

一緒にいながら「思い思いに過ごしたい」というニーズは、テレビの設置場所の定番を
「リビング」から「ダイニング」に変えるかもしれない

 資金不足や子どもの通学・学区などの理由で、実際に引っ越すことはできなくとも、間取りを見て、住みたい家の間取りを考えるだけなら自由。そして間取りは、「生活動線」そのものと言い換えられる。家事負担の軽減は働く世代の最重要課題だ。家電の買い替えや、画像SNSにあふれる間取りの投稿をきっかけに、生活動線を見直す風潮は必ず広がるはずだ。(BCN・嵯峨野 芙美)