政府が2019年10月に予定する消費増税の景気対策で検討しているキャッシュレス決済時のポイント還元は、高単価な買い物が多い家電量販店の現場でも混乱が予想される。

約760店のFC店があるエディオン

 政府は増税前の駆け込みやその後の反動を抑制する対策として、増税から20年夏の東京五輪前までの9カ月間、現金を使わずにクレジットカードや電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済で支払った場合、5%のポイント発行を検討している。当初の増税分の2%から5%への引き上げは、11月下旬の安倍晋三首相の表明で動いた。

 中でも、大手チェーンの直営店とFC店は2%で、中小小売店は5%でポイント還元が変わるという施策は、消費者から店舗の見分けがつかないという問題が起きかねない。また、ポイント還元の原資は中小店の支援策として国費が充てられるため、直営店の還元に必要なコストは企業自らの負担になるという。小売企業の負担は重い。

 例としてコンビニや外食などの大手系列FC店が挙がっているが、家電量販店の場合はどうなるのだろうか。家電量販店にも直営店とFCの違いがある。例えばエディオンの場合、直営356店とグループ会社で100満ボルトを展開するサンキューの28店舗の合計384店が直営店である(18年3月期)。一方でFC店は約760店となっている。

 エディオンのFC店は、もともとパナソニックや日立製作所などの地域電器店だった店が加盟したケースなども多い。チェーン全体でポイント料率2%に統一するとなれば、中小のFC店は5%が適用されず、直営店分は本社の負担となる。家電製品は単価が高いため、9カ月間の2%の自己負担は決して小さくないだろう。

 あるいは家電量販店の直営店は百貨店などと同様に規模が大きいため、そもそもポイント還元の対象にならないため、直営店はポイントなしで、FC店は2%ということもありうる。それはそれで、同じエディオンの看板を掲げているのに店の規模によってポイントの有無が変わるということになる。

ヤマダ電機にも約1万2000店のFC店

 業界最大手のヤマダ電機の場合はさらに複雑だ。970店ある直営店の内訳は、単体が661店、ベスト電器が161店、そのほか関連子会社が148店あり、FCを含むグループ店舗数総計は1万2029店に上る(18年3月期)。

 ベスト電器は直営店のほか、約170店のFC店がある。これらのFCの中には、エディオンと同じようにもともとメーカー系の地域電器店や燃料店などの小規模店が加盟している。ヤマダ電機グループには、ほかにも地域密着型で中小規模のマツヤデンキなどもFCだ。
 
ヤマダ電機グループのベスト電器やマツヤデンキ

 ヤマダ電機のFC店舗数の大多数を占めるコスモスベリーズは、11月30日現在、1万1262店が加盟する。地域電器店のほか燃料店やリフォーム、美容室、クリーニング店など84業種のさまざまな異業種店が加盟する。

 コスモスベリーズはVC(ボランタリーチェーン)として看板や商号を変えずに加盟できることをメリットとして前面に打ち出しているが、ヤマダ電機は有価証券報告書で「FC契約加盟店」と位置付けており、同じグループ内でVCとFCで解釈の違いが生じている。VCだと一般の中小店と同じ5%が適用され、FCだと2%になるのだろうか。
 
ヤマダ電機グループのコスモスベリーズ

 そもそもFCとは、ストアブランドを高めるために看板を統一したり、本部が開発した運営システムや販促ノウハウを導入したりする代わりに、加盟店は本部にロイヤリティなどを支払う仕組みだ。規模の違いによってポイントの違い(サービスの違い)が生じるということは、そもそものコンセプトと相いれない考えなのだ。

 政府が掲げるキャッシュレス決済時のポイント還元は、景気対策というよりも、キャッシュレスの普及を促すのが最大の狙いとの見方もある。ポイント還元をめぐっては、家電量販からも反発が出そうだ。(BCN・細田 立圭志)