「インク商法」と呼ばれる、プリンター本体を安く販売しつつ、消耗品のインクで利益を得る従来のビジネスモデルを見直す動きが出ている。エプソンは、2017年秋から、法人向けで好評だった大容量インクタンク搭載モデルのラインアップを拡充し、今秋に発売した年末商戦向けモデルでは完全にメインに据えた。

 ブラザーも今年、大容量インクタンクを搭載した新シリーズ「ファーストタンク」を投入した。新製品の発表会で、ブラザー販売の三島勉社長は、「これからのインクジェットプリンターは、大容量タンクの時代になる」と宣言。大きな転換期を迎えることになりそうだ。

大容量インクタンク搭載 交換の手間を省き、コストも大幅ダウン

 ブラザーの「ファーストタンク」は、A4が2機種、A3が3機種のラインアップ。プリント、スキャナー、コピー機能を搭載した主力のインクジェット複合機「DCP-J988N」の場合、A4片面1枚当たりの印刷コストはモノクロ約0.7円、カラー約3.7円。L判フチなしの写真プリントは用紙代込みで約10.0円となる。

 「ファーストタンク」の印刷コストは、従来の標準カートリッジ対応モデルと比較して約55%ダウンという。インク交換の頻度も減り、「インク切れ間近」を知らせる通知も減って、ストレスなく使えるようになるだろう。
 
ブラザーの「ファーストタンク」のインク量は、ブラックは標準機種のインクカートリッジの約16本分、カラーは約10本分と、超大容量だ

 「大容量インクタンク」に先鞭をつけたエプソンは、「エコタンク」と称する大きなタンクに専用ボトルから補充する方式を採用。用途やグレードの異なる、A4/A3対応のインクジェット複合機、単機能プリンターをラインアップする。

 主力の複合機「EW-M630」の印刷コストはA4モノクロ約0.4円、カラー約0.9円と、非常に安価だ。L判写真プリントは用紙代込みで約5.9円。1台を長く使い続けるなら、従来型の製品を積極的に選ぶ理由はないだろう。
 
エプソンの大容量インクタンク搭載モデル(左から、複合機のEW-M630のブラックとホワイト、インクジェットプリンターのPX-S170T)

キヤノンのプリンターがAlexaに対応 声で呼びかけてプリント可能に

 ますます使いやすくなるスマートフォンからのプリントや、スマートスピーカーとの連携にも注目したい。キヤノンの今秋発売の一部機種は、LINE上で「ピクサス」を友だちに追加し、設定するとLINEのトーク画面から送信してプリントできるようになった。専用アプリの追加すら面倒という声に応えたようだ。
 
スマートスピーカーやスマホとの連携で、プリンターの活用シーンが広がる(Amazon Echoシリーズの製品説明会でのデモ)

 さらに、「Amazon Alexa」に対応し、「Canon Inkjet Printer」スキルを有効にすると、Alexa搭載機器に「アレクサ、キヤノンプリンターで塗り絵をプリントして」などと話しかけ、塗り絵やナンプレなどをプリントできるようになった。12月頃には、音声AIアシスタント「Googleアシスタント」にも対応する予定。
 
無料のAlexa用スキル「Canon Inkjet Printer」

 今やPCがなくても、使いこなせるようになった家庭用インクジェットプリンター。家電量販店やプリントショップなどの店頭で、ぜひ実機に触って、サイズ感や操作性をチェックしてみよう。(BCN・嵯峨野 芙美)