教育評論家の親野智可等氏、脳科学者の篠原菊紀氏、発達心理学者の岩立京子氏は8月29日、子どもの写真プリントを家の中に飾り、それを見ながらほめてあげることで子どもの自己肯定感を向上させる、新たな子育て習慣「ほめ写」を発信・啓発する「ほめ写プロジェクト」を本格的にスタートした。

「ほめ写プロジェクト」のロゴ

新ワード「ほめ写」とは?

 「ほめ写プロジェクト」は、親野氏が小学校の教師として多くの子どもたちと接してきた中で感じた「自己肯定感の高い子どもの家庭には、写真プリントが貼られていることが多い」ことに着目し、篠原氏、岩立氏、富士フイルムなどのパートナー企業の協力のもと、子どもと親の自己肯定感に関する意識調査や、「ほめ写」の実証実験と脳測定を行い、効果があるという結果が得られたという。

 「ほめ写」のやり方は、子どもががんばっている姿や、日常の何気ないひとコマ、家族と一緒にいるところなどを写真におさめ、その写真を子どもの目線の高さで生活の導線上に飾って「この時はがんばったね」「よくできたね」と努力や成果をほめるだけではなく、「生まれてきてくれてありがとう」「見ているだけで幸せになる」などと子どもの存在そのものを肯定すること。「これは!」と思う写真はA4程度の大きめのサイズでプリントするとより効果がある。

 子どもは、その写真に対して肯定的な感情を持つようになり、ほめられている時以外でも日常生活の中で繰り返しその写真を見ることで、「自分は愛されている」「存在価値を認められている」という肯定的な感情が反芻されるようになる。

自己肯定感に関する意識調査と実証実験結果

 「ほめ写プロジェクト」が行った自己肯定感に関する意識調査では、自己肯定感について95%の親が「子どもの自己肯定感は重要」と考える一方、約6割の親は意識して自己肯定感を向上させる取り組みは行っていない。
 


 写真を飾っている家庭と、写真を飾っていない家庭の子どもを比較すると、写真を飾っている子どもは飾っていない子どもよりも自己肯定感が高いという結果が出た。
 

 「ほめ写」実験として、幼稚園児~小学生とその親32組に対し、約3週間、家庭で子どもの写真や家族と一緒に写っている写真を飾り、ほめる言葉をかける取り組み「ほめ写」ワークを実施し、意識や行動の変化を調べたところ、ワーク実施後は子どもの自己肯定感に関する意識が全般的に向上しており、とりわけ「自分自身への満足」に大きな変化があった。
 

 また、「ほめ写」を3週間体験した子どもと、「ほめ写」を実施していない子どもに、自分の写真、家族との写真、関連性のない写真を見せた時に、脳活動にどのような違いが見られるか測定し、「ほめ写」を体験した子どもは自分の写真を見た際に腹内側前頭前野(「心地良い」と感じる部位)が活性化したほか、「ほめ写」体験者は非体験者と比較して、腹内側前頭前野が活性化していることがわかった。

 「ほめ写」体験者は、自分の写真を見ている際に前頭葉の右側付近(画像情報を一時的に記憶・操作する「空間認知的ワーキングメモリ」に関連する部位)が活性化しており、自分の写真という映像情報をインプットし、自身の記憶・情報と統合・整理することで、過去の記憶をイメージしながら写真を見ている可能性があるといえる。
 
「ほめ写プロジェクト」協力団体・企業

 これらの調査結果は、「ほめ写」のWebサイトで公開している。プロジェクトメンバーと、パートナー企業・賛同団体は、セミナーやイベントなどを通じて効果的な「ほめ写」のやり方や、子どもの自己肯定感を向上させるコツなどに関する情報を発信していく。