パイプドHDグループで電子地域通貨事業を手掛けるシモキタコインが、東京・下北沢エリアのみで利用が可能な電子地域通貨「シモキタコイン」を9月27日に発行した。街の訪問者と店舗のニーズに合わせた形だ。果たして、エリア限定の電子通貨が普及するのか。「地域活性化につなげる」と話す、鎌形渉社長にシモキタコインの可能性について聞いた。(BCN・佐相彰彦)

鎌形渉社長

――シモキタコインが設立となった経緯を教えてください。

鎌形 地域通貨流通モデルを検証するためです。なぜ、下北沢なのかというと、イベントの運営・企画や、地域密着型ウェブアプリ「I LOVE 下北沢」を提供しているアイラブがグループ会社にあるのですが、下北沢で事業を手掛ける中で「下北沢専用のコインがあったらいいな」という声が挙がったんです。

――多くの店舗では、なぜ専用のコインが必要だったんでしょうか。

鎌形 下北沢駅周辺の商店街には小さな店舗が多く、しかもクレジットカード決済システムを設置していないケースも多い。決済にかかる手数料やシステム使用料が高いからです。ところが、最近では外国人旅行者の訪問も多く、キャッシュレスサービスの提供が必須でした。そのため、シモキタコインを設立することになりました。
 
下北沢周辺の店舗が小さな店舗が軒を連ねる

――発行の仕組みを教えてください。

鎌形 コインの利用者は、I LOVE 下北沢でチャージや決済ができます。1コイン当たり1円です。店舗は、1株当たり1万円を支払えば加盟店になることができ、あとはQRコードを設置するだけです。加盟店の取引手数料は3.5%です。その手数料からコイン利用者のコインチャージ時に1%、決済時に1%のポイントを付与します。1%は1コインに相当します。当社の収益は1.5%の取引手数料ということになります。
 
発行の仕組み

――売上目標はありますか。

鎌形 実は、初年度(2019年2月期)は数十万円です。ただ、取引決済額が増えていけばビジネスとして成立するとみています。ちなみに、加盟店については年内に150店舗を見込んでいます。

――初年度の売上高が低めにもかかわらず、ビジネスとして成立する、と言いますと?

鎌形 当社が対象に据えている加盟店は最大で1000店舗を想定しています。その対象となる店舗の売り上げを合わせると、600億円規模に達しています。もし、仮に全ての店舗が加盟店となり、取引のほとんどがシモキタコインということになれば、大きなビジネス(約9億円の売上規模)に化けますよね。

――あくまでも、仮定ですよね?

鎌形 もちろん、全ての店舗、全ての取引がシモキタコインということはありませんが、それだけの可能性を秘めているということです。また、先ほど会社の設立は地域通貨流通モデルを検証するためと申し上げましたが、シモキタコインの成功事例を生かして、動向を見ながら他の地域でも展開していく基盤が整うとも捉えています。

――シモキタコインは普及しますかね?

鎌形 下北沢だけで使えるというのはデメリットのように思われがちですが、実はポイントなども含めてメリットもあります。また、下北沢では多くのイベントを実施されていて、若者を中心に多くの人が集まります。その際、シモキタコインを使ってくれるようになれば、普及すると確信しています。イベントを後押しして、地域活性化につなげることに期待しています。

――日本は世界に比べるとキャッシュレス化が遅れていると言われていますが、キャッシュレス化が広がるきっかけは?

鎌形 確かに、日本はキャッシュレスが普及していませんが、大手を中心に多くのサービスが出てきています。そういった意味では、確実に広がるといえます。そんな中、ある特定の地域に特化したシモキタコインも、キャシュレスかの寄与できればと考えています。