かつては「巣ごもり消費」と呼ばれ、旅行や外食などの外出を控え自宅で食事や娯楽を楽しむ消費傾向は、新たに「イエナカ消費」と名づけられた。自宅での過ごし方を見直すという意識にあわせ、「ライフシフト消費」とも呼ばれる。

 典型的な例は、ワンランク上のプロの味が楽しめる新たな調理家電や、大勢でわいわい楽しめるパーティ向け調理家電。「自宅で専門店の味を再現する」プロ志向と、「大勢でクッキングを楽しむ」エンタテイメント志向が重なり、盛り上がりをみせつつある。
 
なかには高級炊飯器のように10万円を超えるものもあるが、
「時短」を目指した調理家電やパーティ向け調理家電は、おおむね1~5万円程度だ

「名もなき家事」は誰がやる?

 こうしたイエナカ重視の動きとは正反対に、フルタイム勤務の子持ちの女性を中心に、家事には極力手をかけず、できればアウトソーシングしたいというニーズも高い。共働きの世帯数の割合が専業主婦世帯数を超え、夫婦で家事を分担しなければならないケースが増えた。ところが、諸外国に比べ日本の男性は、育児・家事に費やす時間が圧倒的に短く、とくに、日常生活の中で誰かがやらなければならない家事(名もなき家事)は女性に集中しがちだ。

 子育て中の女性のリアルな声を製品開発やマーケティングに活かしたいなら、Twitterをのぞけばいい。「家事・育児をやっているつもり」の配偶者に対する諦めや憤り、「育児は母親の仕事」という世間の常識に疑問を投げかけるコメントがあふれている。

 男性でも子どもの数が多いと、家事に協力せざるを得ないため、家事のアウトソーシングや時短家電の徹底活用に理解を示すようになる傾向がある。家事がそもそも苦手、子どもが手のかかるタイプ、実の両親の手助けを借りられないなど、特定の条件に該当する境遇でなければ、同じ女性の間ですらなかなか共感されにくい。

自宅で楽しむおいしい「食」でストレスを解消

 そんな疲れ切った日々に笑顔をもたらすのが、手間をかけず、誰でもおいしいごはんを炊くことができる炊飯器や、ほったらかしで調理してくれる自動調理鍋、低温調理器などの新ジャンルの調理家電だ。
 
疲れを吹き飛ばす、炊きたてごはん

 例えば、三菱電機の5.5合炊きの「ジャー炊飯器 本炭釜(NJ-VW108)」の場合、実勢価格が5万円弱と手頃で、子どもから親への「敬老の日」や「母の日」のプレゼントにも最適だ。また、象印マホービンは、7月に炊き方と内釜を全面刷新した10万円を超える高級炊飯器「炎舞炊き NW-KA型」を発売する。カラーはどちらも和テイストの2色。「イエナカ」のトレンドは、調理家電の実需要とギフト需要の両方を下支えするだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)

※『BCN RETAIL REVIEW』2018年4月号掲載記事を改稿