「睡眠負債」という新語が目につくようになった。寝不足が続くと、糖尿病や認知症の原因になる可能性があるという研究結果にもとづき、十分な睡眠時間を確保しようという呼びかけだ。


「寝ても疲れがとれない」「早く目覚めてしまう」など、睡眠に関して悩む人は多いようだ

 「睡眠負債」という響きは、さも深刻な問題であるかのように脅しながら、周囲には仕事への愚痴や弱音と思われずに、気軽にSNSでつぶやける軽さをあわせもつ。

 実際、仕事の上での締め切りを気にするあまり、予定よりだいぶ早く起きてしまい、十分に眠れない日が続いた時、仕事と家事・育児、趣味にかける時間配分の見直しが必要だと痛切に感じたことがある。1日24時間では、やりたいこと、やるべきことがこなせない。何かを削るとしたら睡眠しかないが、減らすにも限度がある。その怖さを、多くの人は気づいていない。

良質なアウトプットのためにインプットする余裕を

 具体的な解決策として、労働基準法に記載された労働時間「1日8時間」の見直しを提案したい。通勤時間を含めて8時間程度が妥当だろう。

 正味の労働時間は原則「1日6時間」となれば、職場近くに引っ越さなくとも2時間のゆとりが生まれる。その時間の一部を、業務に関わる情報やキャリア設計、税制などに関する情報の収集にあてれば、むしろ仕事の生産性は上がるだろう。

 とくに経営・マネジメント層は数字の分析に強くなり、目前に迫った人口減少対策を考えなくてはならない状況に迫られている。目の前のその場の対策ではなく、長期的な戦略が必要だ。「睡眠負債」が一過性のトレンドにとどまらず、抜本的な改善につながることを期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)