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考えたい家事の自動化と「時短家電」のコストパフォーマンス

オピニオン

2017/09/27 19:00

 乾燥機能付き洗濯機・食洗機・ロボット掃除機は、幼い子どものいる共稼ぎ夫婦では必須の家電といわれている。別名、「新三種の神器」だ。保育園・こども園の送り迎え用に、電動アシスト自転車も人気を集めている。今後、製品の価格がこなれれば、より広い層への普及も期待できるだろう。


SNSやブログでは、家事の負担を減らす時短家電の活用を「物理で殴る」と表現する人もいる
 

主な家事・育児のタスク(子どもが保育園児の場合)

持ち家・賃貸によって少し変わる共稼ぎ夫婦の「新三種の神器」

 「新三種の神器」のうち、「食洗機」と「乾燥機能付き洗濯機」は、住宅の種類によって設置可能なタイプが変わり、購入費用や設置のハードルも変わる。持ち家の場合、食洗機はシステムキッチンに組み込むビルトインタイプが主流で、国内ではパナソニックの独壇場だ。対して、賃貸の場合、後付けできないため、卓上タイプになる。内閣府の調査によると、2017年3月末時点で二人以上の世帯での食器洗い機の普及率は32.4%にとどまっているが、賃貸住宅の基本設備にビルトイン食洗機が追加されれば、この比率は一気に高まるだろう。
 

ビルトイン式と卓上式(右)の食洗機。どちらもパナソニックが強い

 「乾燥機能付き洗濯機」は、ドラム式と縦型に分かれる。ただ、新築マンションではほぼ標準仕様の「浴室乾燥機能」や「衣類乾燥」に対応する除湿機・空気清浄機を使用したり、数日分の洗濯物をまとめてコインランドリーに持ち込んだり、別の方法で代替するケースもある。どの方法も、極力手間をかけず、短時間で処理する、という点は共通だ。コインランドリーや宅配クリーニングサービスは、家事の外注化の一例ともなっている。
 
「乾燥機能付き洗濯機」や「コインランドリー」なら、乾燥まですべておまかせ。
「浴室乾燥機能」を使うと干す手間は残るが、バルコニーや庭にまで持ち運ぶ時間はカットできる
(写真は、パナソニック、日立、東芝の今秋発売のドラム式洗濯乾燥機)

夫婦どちらかに偏りがちな家事 年間のトータル時間は?

 掃除や整理整頓、食料品や日用品の買い物、料理などの「家事全般」の優先順位は、人によって異なる。ただ、室内や机まわりがすっきり片付いていると気分がよく、生産性が高まるとは、誰とも認めるところだ。

 個人的な感覚としては、リビングと洗面所・台所の3か所のゴミをキャニスター型掃除機で吸い取り、朝食・夕食の食器を洗うために必要な時間は約1時間。朝、洗濯機を回して衣服を外干しするために必要な時間は、事前準備とあわせると約30分だ。さらに、ゴミ捨てと、ゴミの分別やまとめにかかる時間を加えると、合計2時間かかる。もっとしっかり掃除したり、3食すべて自炊したりすると、所要時間はもっと増える。子どもの世話や遊びの付き合いなどを含めた、1週あたりの家事・育児時間は、少なく見積もっても20時間程度だ。

 残業手当てが支給される給与体系の会社に勤務していれば、毎日最低2時間×5日で週10時間、1か月あたり40時間の残業代はかなりの金額になるはず。そして、これらの家事を夫婦どちらか一方だけが行っていると仮定した場合、自由時間の差は1年あたり480時間に達する。一睡もしなければ丸20日間だ。
 

食洗機をはじめ、時短家電を導入してもまだ多くの時間がかかる

 パナソニックが10月1日に発売する「液体洗剤・柔軟剤の自動投入機能」を搭載したななめドラム洗濯乾燥機「NA-VX9800L/R」は、税別実勢価格38万円前後という価格設定。製品発表会では、報道関係者から「高すぎる」との声が漏れ出たという。しかし、機能ではなく、「時間」を軸にコストパフォーマンスを判断すると、そこそこ妥当な水準かもしれない。「モノで時間を買う」「モノそのものではなく、自分らしいライフスタイルを買う」という価値観は、当事者以外、なかなか共感しづらいかもしれないが、高額でも売れる製品・サービスに共通するキーワードだ。(BCN・嵯峨野 芙美)