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<KeyPerson>経産省の住田孝之審議官 流通の生産性向上のために

インタビュー

2017/02/24 12:30

 プレミアムフライデーを企画した経済産業省の住田孝之商務流通保安審議官は、長引くデフレを断ち切るには「モノの値段は下がるもの」という消費者の意識を変えなければならないと説く。小売業の生産性が上がらない一因にもつながっている。

取材・文/細田 立圭志 写真/大星 直輝

・前半<売り方・生活・働き方を変革>から読む

――日本の小売業の生産性が低いといわれていますが、プレミアムフライデーでは、そうした面も改善したいと。

住田 生産性の課題はいくつか要因があります。一つは「モノは安くなる」という価格に対する消費者の根強い考え方です。テレビがいい例で、材料や人件費、品質を高めて従来よりも価格を上げたいけど、本来の値段をつけられない。

 モノの値段が上がることに皆さん、慣れていません。1990年代以降、ずっとそうです。この価格付けの難しさが日本において、結果として小売業の生産性が上がらない一つの大きな要因になっています。
 

経済産業省の住田孝之商務流通保安審議官

「消費インテリジェンス」がキーワードに

――大手流通も、大量仕入れによるスケールメリットを価格に反映させてきました。

住田 安売りで来客数を増やそうとしますが、価格を下げて安くしてたくさん売っても利益が出ないこともあります。販売数量と利益がうまくかみ合う最適価格があるはずなのに、すぐに価格を下げてしまう。

 生活必需品は機能すれば安いほどいいという考え方もありますが、そうではない消費の仕方もたくさんあるはずです。例えば、今、このタイミングにほしいという、値段ではなく、そこにあることが重要な価値になる消費のあり方です。

 流通業で働く方々も、単純な物売りによるモノ消費ではなく、コト消費に目を向けていかなければ、「安いことがいいこと」という考えから抜け出せなくなります。店舗を構えていれば、なおさらです。生活者がどういうコトに関心を持ち、どういうモノとコトが一緒のときに、価格ではない価値に反応するのか。こうした「消費インテリジェンス」といわれる分析力が今後、ますます重要になってくるでしょう。
 

「消費インテリジェンス」といわれる分析力が重要になると指摘する

――安売りをして生産性を上げようとすると、コスト削減の意識が強くなり、絞る水がないのにさらに雑巾を絞ろうとしますね。

住田 会社で働いている人は、コスト削減が重要な任務の一つなので、家でも使わないように、使わないようにしようとします。ですから、こうした意識を変えるきっかけにもなる「プレミアムフライデー」を、社会的な運動にしたいのです。

 これは、まさに政府が進めている「働き方改革」にもつながってきますし、生活者のライフスタイル改革にもつながります。ここを改革しないことには、小売業の生産性も上がっていかないのではないでしょうか。

 プレミアムフライデーは単なる消費喚起策ではなく、『みんなで楽しいことをしようよ』という生活者目線の取り組みです。安売りではない適正な価格で販売されれば、結果的に消費が増えます。売上げが上がって利益が出れば、働く人の賃金も上がり、さらに消費が拡大するという好循環が生まれるはずです。

・<「ICタグ」を広げる>に続く

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