PC専業からの脱却、資産を生かしたVAIOのEMS事業

特集

2017/02/22 13:43

 独立から2年で黒字を達成し、着実に業績を伸ばしているVAIO。主力のPC事業が法人向けを中心に堅調なことはもちろんだが、予想外に収益を支えているのが、EPS事業(電子機器の委託事業)だ。

 大田義実社長は2015年8月の社長就任式で「17年度にはPC事業と新規事業の規模を1対1としたい」とコメントしていたが、その有望株に掲げるEMS事業は徐々に成果を上げつつある。

 中心になっているのが、ロボティクスやIoT技術を生かした製品群。安曇野工場には、かつてソニー時代に犬型ロボット「AIBO」を開発したノウハウや開発担当者がいる。長年培ってきた資産を生かし、製品改良や量産を担うパートナーとして頭角をあらわしつつある。
 

EPS事業で技術提供・量産を担う製品群

 具体例には、富士ソフトとコラボレーションしたコミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」やMoffのスマートトイ「Moff Band」、博報堂が商品企画したIoTデバイス「Pechat」などがある。大手からスタートアップ企業まで幅広い顧客を視野に入れているのが特徴だ。

 新規事業の柱として期待されるEMS事業に加え、第三のコア事業を立ち上げる方針も示している。16年夏の発表以降、詳細は語られていないが、“ものづくり”が基盤にあることは明言している。いずれにせよ、20年前に産声を上げた「VAIO」というブランドは、いま第二の誕生の只中にあるといえるだろう。(BCN・大蔵 大輔)