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<Key Person>ケーズHD遠藤社長 「閉店時刻になると電気を消す」 故・加藤馨名誉会長の教え

インタビュー

2016/07/22 18:00

 2016年3月期の家電量販店各社の決算では、売上高総利益率(粗利益率)が大幅に改善した。ケーズホールディングス(ケーズHD)も26.3%と前年度より1ポイントアップ。遠藤裕之社長兼CEO兼COOは「競争環境が変わった」と指摘する。家電量販店は安売りをしなくなったのか。経営戦略や出店計画、今年3月19日に逝去した創業者・加藤馨名誉会長の教えなどを聞いた。

取材・文/細田 立圭志
写真/大星 直樹

・<独自の経営戦略>から読む

――今年3月に創業者の加藤馨名誉会長がお亡くなりになりました。

遠藤 本社が(茨城県水戸市)柳町にあったとき、その上にご自宅がありました。そのとき加藤馨名誉会長で、今の加藤修一相談役が社長、私は本社で販売を担当していました。
 

故・加藤馨名誉会長からの教えについて語るケーズホールディングスの遠藤裕之社長兼CEO兼COO

 残業がダメなのではなく、「仕事が終わったら早く帰りなさい」という方でした。夕方5時になるとご自宅からトコトコと降りてきて「そろそろ帰りなさい」といって、そのうち電気を消し始めるのです。当時は、すごいなぁと思いましたね。

 もちろん、その後でいろいろな話を聞くなかで、社員が働きやすい環境をつくることを教わりました。「社員が苦労していていい仕事ができるはずがない」という話を直接にたくさん聞いています。

 私が東京ベイサイド浦安店の店長だったときに同じことをしたのです。9時閉店でお客様がいなくなったら全部電気を消しました。すると社員はトランシーバで「まだ仕事しているんですけど」というわけです。私は問題をピックアップしました。その時間にやるべき仕事なのか、1人で30分かかる仕事なら2人でやれば15分で終わるのかを問い合わせるのです。そして、2人で終わらない仕事なら、もう帰りなさいと。電気を消すと問題が明らかになるのでおもしろいです。
 

「同じように閉店時間に電気を消したら、それぞれの問題が明らかになったのです」

 品出しについても、出さなくてもいいから帰りなさいといいます。定数定番の商品で、月に5個売れる商品が3台しか残っていない場合でも、3台あれば明日は間に合うじゃないですか。それなのに、足りない2台のために残業するのですかと。残業する必要はありません。

 ただし、売り場に1台もなければ品出しをしなければいけません。これは最優先にすべき仕事です。

 私は31年間、相談役と一緒に仕事していますが怒られたことは一度もありません。褒められたこともないけど。馨名誉会長もまったく同じ方でしたね。