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自然写真家の高砂淳二さんに聞く、気軽に自然写真を撮る方法

特集

2011/01/21 19:30

 今や私たちの生活のマストアイテムとなったデジタルカメラ。しかし、なかなか気に入った写真が撮れない、物足りない……と、嘆いている人も多いのではないだろうか。今回は、自然写真家の高砂淳二さんにインタビューする機会を得たので、私たちアマチュアが気軽に自然写真を撮影する方法を教えていただいた。

 高砂淳二さんは、海、生き物、風景など、自然全体のつながりや人とのかかわり合いなどをテーマに撮影活動を行っている自然写真家。壮大なスケールの自然や海を泳ぐ生き物たち、動物などの作品に、多くの人々が癒されている。また、地球全体をフィールドとしているだけに、自然保護活動や環境問題への取り組みにも積極的。特定非営利活動法人OWSで理事を務めるなど、海を取り巻く自然の大切さを伝える活動にも力を注いでいる。 

自然写真家の高砂淳二さん

 一年の半分が南の島など海外での撮影活動だという高砂さんだが、現在、作品募集中のトランセンド主催のフォトコンテスト「あなたが守りたいネイチャーフォトコンテスト」の審査員を務めている。ウェブに写真データをアップロードすることで気軽に応募できるコンテストなので、筆者もチャレンジしようと考えたが、自然写真のスポットを求めて山や海まで行くとなると、やはり気軽にというわけにはいかない。2月15日の締切までに、何とかならないだろうか……。

 というわけで、高砂さんにアドバイスをいただいた。「僕たちプロは、大自然を撮るために遠くまで行きますが、一般の方々は、身近な自然に目を向けてみてください」と高砂さん。「都会でも、ちょっと目線を変えれば、家の近くの道に花が咲いていたり、トカゲがいたり、空を見上げれば、鳥が飛んでいる。注視してみると、気がつかなかったいろいろなものが見えてくる」。自宅と会社の往復で見慣れてしまう景色や日常にも“自然”が隠れているのだ。

高砂淳二さんの作品「大きな虹、ハワイ」

 撮るものを決めて、いざシャッターを押そうとすると、なかなか決まらないのが構図だ。そんなときには、「カメラを構えた位置から、さらに一歩前に出ることがコツ」。さらに「写真は“引き算”。関係ないものは取り除いたほうがいい」という。大事なことは、「なんで撮りたいと思ったのかを意識すること」。

 例えばネコを被写体にするなら、「どんな表情が、どこがかわいいと思ったのか。よく観察して、撮りたいと思った動機に意識を傾けることが大事」という。このほか、いつものカラー写真ではなく、モノクロ写真にチャレンジすることもオススメだという。「色に左右されないので、表現したい被写体の存在感が表現しやすい」。

トランセンド主催「あなたが守りたいネイチャーフォトコンテスト」の審査員を務める

 お会いする前は、とにかくワイルドで語り口も豪快だろうとイメージしていたが、実際にお会いしてみれば、物腰は柔らかく、気さくな人柄。やさしく丁寧にアドバイスしてくださった。私生活では、「デジタルフォトフレームに写真を入れて両親にプレゼントしたら喜ばれた」というエピソードも。雄大な自然やゆったりとした海の景色など、私たちを癒してくれる作品には、高砂さんの人柄が表れている。(BCN・田沢理恵)