最近イヤホン売り場に行くと、ちょっとおしゃれな雰囲気をかもし出す海外メーカーの製品を目にするようになってきた。なんだか音もよさそうだ。そこで、Philips、Shure、Klipsch Audio Technologies、JAYS4社をピックアップ。秋葉原のオーディオ専門店でカナル型の上級モデルを視聴してみた。

秋葉原にある「ダイナミックオーディオ5555」

エントリーモデルを豊富にラインアップ――<1>Philips



Philips カナル型イヤホン 販売個数シェア トップ3
順位 メーカー シリーズ 再生
周波数帯域
発売月 市場
推定価格
販売個数
シェア(%)
1 Philips SHE9700/00 6-23500Hz 2009/04 3400円 56.1
2 Philips SHE9850 20-20000Hz 2009/04 9900円 12.4
3 Philips SHE9701/97 6-23500Hz 2009/04 3600円 7.2
「BCNランキング」09年5月 月次<最大パネル>
※発売月は加賀ハイテックの公式発表によるもの

 医療機器、照明、家電などを幅広く手がけるオランダの大手総合電機メーカーPhilipsは、オーディオ機器でも老舗。イヤホンのラインアップも豊富だ。カナル型イヤホンは、2000円から1万円程度の初・中級モデルが多い。手頃な価格帯なので、初めてのユーザーでも購入しやすい。販売代理店は加賀ハイテック。

 今回、イヤホンの視聴では、高級オーディオの品揃えで定評のある「ダイナミックオーディオ5555」にご協力いただいた。まず、Philipsのモデルでは最上位の「SHE9850」を試聴した。音質は低音の響きがよく、全体的なバランスもよかった。また、デザイン面では、どちらが「R」「L」か触ったときにわかるよう、「L」だけに点字のような突起物がついているという親切な設計だ。ボディは写真だとわかりにくいが、上から見るとややカーブした形状になっている。

(左から)PhilipsのSHE9700/00、SHE9850

 Philips製イヤホンのなかで、売れている製品を「BCNランキング」で調べると、1位が初級モデル「SHE9700/00」で、Philips製では半分以上がこのモデルが占めていた。BCNが集計した市場推定価格(以下同)は3400円とお手頃だ。2位は試聴した「SHE9850」で9900円、3位は「SHE9701/97」で3600円だった。こうしてみると、Philipsでは価格の安いエントリーモデルが人気のようだ。なお、各ランキングはカラーバリエーションを合算して集計した。

 ちなみに同社ではカナル型イヤホンのほか、ヘッドバンドのついたへッドホンや、フックを耳にかけて使用するクリップ型イヤホンも扱っている。

遮音性はピカイチ、中・上級モデルを幅広く――<2>Shure



Shure カナル型イヤホン 販売個数シェア トップ3
順位 メーカー シリーズ 再生
周波数帯域
発売月 市場
推定価格
販売個数
シェア(%)
1 Shure SE102-J 22-17500Hz 2008/10 7500円 47.9
2 Shure SE110-J 22-17500Hz 2007/11 1万900円 27.1
3 Shure SE210-A-J 25-18500Hz 2008/04 1万7500円 11.7
「BCNランキング」09年5月 月次<最大パネル>

 Shureはアメリカの音響機器メーカー。主にプロ向けのマイクで有名だが、個人向けのオーディオ関連製品も扱っている。イヤホンでは1万円程度の手頃なモデルから5万円程度という上級モデルまで幅広くラインアップする。「ダイナミックオーディオ5555」の清水芳男・店長代理によると、「『Eシリーズ』で注目を集めた以後、認知度は高くなった」という。この人気シリーズを引き継いだのが現在販売している「SEシリーズ」だ。販売代理店はヒビノインターサウンド。

 せっかくだからと、Shureのなかでも上級モデルの「SE420-J」を視聴してみた。3万6500円のかなり高価な製品だ。ボディはやや大きめでケーブルも太い。実際に聴いてみると、ボーカルが際立っていた。全体的にはぬくもりのある音だ。なお、遮音性はほかの3製品と比較してもっとも高かった。

(左から)ShureのSE102-J、SE110-J

 Shure製品で売れ筋の人気ランキングを見たところ、1位が7500円のエントリーモデル「SE102-J」だった。これよりも1つランクが上で1万900円の「SE110-J」が2位。どちらも丸っこいボディが特徴だ。3位は1万7500円の中級モデル「SE210-A-J」だった。なお、今回試した「SE420-J」は5位だった。
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デザインが斬新! バランスのいい音――<3>Klipsch



Klipsch Audio Technologies カナル型イヤホン 販売個数シェア トップ3
順位 メーカー シリーズ 再生
周波数帯域
発売月 市場
推定価格
販売個数
シェア(%)
1 Klipsch Audio Technologies IMAGEX10 5-19000Hz 2008/07 3万4500円 40.2
2 Klipsch Audio Technologies IMAGEX5 10-19000Hz 2008/10 2万1500円 30.4
3 Klipsch Audio Technologies CUSTOM1 12-19000Hz 2008/07 1万200円 15.0
「BCNランキング」09年5月 月次<最大パネル>

 Klipschは個人・業務向けのスピーカーで有名なアメリカのメーカー。このスピーカーの技術を生かしてイヤホンも展開する。価格帯としては、1万円から4万円程度。販売代理店はイーフロンティアだ。

 3万4500円の最上位モデル「IMAGEX10」を試聴してみると、まず驚いたのが、とにかくボディが軽いこと。装着しても耳につけているという重さを感じさせない。デザインもとてもユニークで、ほかのメーカーにはない大変斬新なもの。「眉毛」のようにゆるやかな弧を描いた形状だ。本体の素材にはアルミニウムを採用している。

 音質は全体的に奥行きがあり、ボーカルと楽器演奏のバランスがいい。イヤーパッドはボディとのバランスからすると大きめでかさばるように見えるが、実際に装着してみるとまったく気にならなかった。遮音性もある。ちなみに「R」「L」はカーブするボディの内側にシルバーで目立たないよう印字されている。

(左から)KlipschのIMAGEX10、IMAGEX5

 Klipsch製品では、試聴した「IMAGEX10」が一番売れている。同社製イヤホンの約4割はこの製品だ。2位は、これよりもほんの少しボディが大きくて2万1500円とやや安い「IMAGEX5」だった。3位は1万200円のエントリーモデル「CUSTOM1」。Klipschでは、価格のやや高い中級モデルに人気が集まっているようだ。

小さなボディながら臨場感あふれる音――<4>JAYS



JAYS カナル型イヤホン 販売個数シェア トップ3
順位 メーカー シリーズ 再生
周波数帯域
発売月 市場
推定価格
販売個数
シェア(%)
1 JAYS S-JAYS 20-20000Hz 2009/02 9600円 50.0
2 JAYS J-JAYS 50-20000Hz 2008/09 20.0
3 JAYS d-JAYS 20-20000Hz 2008/09 1万2400円 15.0
「BCNランキング」09年5月 月次<最大パネル>

 JAYSは、携帯オーディオ向けにイヤホンとヘッドバンド型のヘッドホンを製造するスウェーデンのメーカーだ。販売代理店はゼネラル通商。今回は価格が2万円程度の最上位モデル「q-JAYS」を試聴した。

 こちらもKlipschと同様、ボディが驚くほど小さくて軽い。また、Philipsと同じく、上から見るとボディはややカーブしている。印象的だったのは、試聴したほかの製品と比べてケーブルが細いこと。デザインは全体としてしなやかなイメージを受けた。音質については、高音域の臨場感に優れ、全体的なバランスもよかった。

(左から)JAYSのS-JAYS、J-JAYS

 JAYS製品の人気モデルは、1位が9600円のエントリーモデル「S-JAYS」で、ほぼ半数がこの製品だ。2位は半球体のボディが特徴の「J-JAYS」。3位は「d-JAYS」だった。この製品と同じ性能で、ピンクやグリーン、オレンジなどビタミンカラーの色鮮やかなモデルもある。なお、試聴した「q-JAYS」は5位だった。

海外メーカー、店舗での人気は2-4万円の中・上級モデル




 海外メーカーに関わらず、カナル型イヤホン選び特有の注意点は「自分の耳にきちんと合ったイヤーパッドを使わないと低音が出ない」(清水店長代理)ことだという。また「柔らかい音なのか、それとも固い音なのか、『好みの音質』と耳に装着した『つけ心地』は、実際に試して選んだほうがいい」という。自分に合ったイヤホンを見つけるには、試聴して音を確かめながらフィット感も確認したほうがいいようだ。

「ダイナミックオーディオ5555」のカナル型イヤホンコーナー

 海外メーカー製イヤホンは「2-4万円のモデルが人気がある。購入者の男女比は、男性が7に対し、女性が3という割合」(同)だという。女性が3割もいると聞いて意外に多いという印象を持った。また2-4万円というのは、イヤホンとしてはかなり高額。「イイ音」を求めて海外ブランドを試す人たちは、男女を問わず音優先で、ちょっと高めのモデルを購入しているようだ。それだけの価値があるのだろう。店頭で耳慣れない海外ブランドのイヤホンを見つけたら、ちょっと視聴してみてはいかが? 新たな発見があるかもしれない。(BCN・井上真希子)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店からPOSデータを毎日収集・集計している実売データベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで124品目を対象としています。

*記事中の価格はすべて記事掲載時点の「市場推定価格」で、特定の店舗の販売価格ではありません。なお市場推定価格は、「BCNランキング」のデータをもとにBCNが独自に算出したもので、消費税を含んだ金額です。