追い求めること1日半、ようやく手にしたiPhone購入顛末記

特集

2008/07/15 14:15

 08年7月11日、待ちに待ったiPhoneが発売される。「iPhoneが何としてもほしい」――そう思った私は、生まれて初めて開店前に店に並ぶことを決意。それから、iPhoneを求めて走り回る、私の長い1日(正確には1日半)が始まった。

●最初に地元のヨドバシカメラを攻めるも100番越えで撃沈

 まずは、発売日前日の7月10日に最寄りのヨドバシカメラ吉祥寺店に電話。iPhoneの入荷を確認した。すると、「朝8時30分に整理券を配る予定」との答え。店員は丁寧に必要書類なども教えてくれた。「ヨドバシカメラに並べば、整理券が配られる8時30分には解放される。ソフトバンクショップでは販売開始の12時まで並ばなくてはならない」と考えた私は迷わずヨドバシカメラで並ぶことにした。

 11日の発売日がやって来た。当日は7時30分にヨドバシカメラに向かう。途中、ソフトバンクショップの前を通ると、5人ほど座って並んでいた。「あまり多くはないな」と横目で見つつヨドバシカメラに急ぐ。店に着いてビックリ! 長蛇の列だ。iPhoneを求めて並ぶ人はディズニーランドの行列さながらに何度も折り返し、100名以上はいそうだ。

 店の前では「人数を数えるための紙を配りますが、これは整理券ではありません。100番目以降の方は、今日中の購入が難しいことが予想されます。100番より前の方も、今日中に購入できるというお約束はできません」と、店員がアナウンスをしていた。


 とにかく最後尾に並んで紙をもらう。手渡された紙は「割り込み防止券 158」。100番を大幅に越えていた。「店員の言葉通りであれば、今日中にiPhoneを手に入れるのはムリだ」――そう考えた私はヨドバシカメラでの購入を早々にあきらめ、人数が少なかったソフトバンクショップにダメモトで並ぶことに考えを変えた。販売開始の12時まで並ぶ覚悟はなかったが、店によっては整理券が配られたという情報を会社の仲間から聞いたので、それに賭けてみることにしたのだ。

●ダメモトと思いながらもソフトバンクショップに急ぐ

 ヨドバシカメラを離れ、急いで通り過ぎたソフトバンクショップ吉祥寺南店に向かう。店に着いて先頭の人に話を聞いたら3時半頃から並んだとのいう。また、整理券を配るという説明はないと教えてくれた。


 ちなみに、吉祥寺南店の近くには、ソフトバンクショップ吉祥寺公園口前店もある。興味がてら様子を見に行くと、5人が並んでいた。聞くと、先頭の人は5時半頃から並んでいて、整理券を配る情報はまだないという。そこで、私は「ココだ!」と思い、6番目に並ぶことにした。


 一方で、私は会社のスタッフO君に、渋谷のビックカメラに8時頃から並んでもらっていた。O君からの連絡ではビックカメラでは9時30分頃には整理券が配られるという。整理券は譲ってもらうことになっていた。この時点で、私には自分が並んでいるソフトバンクショップかO君が並んでいるビックカメラのどちらかでiPhoneを入手できる可能性があった。彼の順番は16人目だという。「大手家電量販店で16番目なら大丈夫だろう」と私は思ったが、念のため自分もそのままソフトバンクショップに並ぶことにした。

●ソフトバンクショップでは理不尽な説明と情報の錯綜で混乱状態に

 吉祥寺のソフトバンクショップでは、9時30分頃、店員が説明をするために店から出てきた。店員は「今日の入荷は8台です。新規契約の方だけ受け付けます。整理券は12時にならないと配れません。本部からの連絡で、私たちにはどうすることもできません」と杓子定規に説明した。

 この言葉に機種変更をするつもりでいた人は怒り出した。その人たちに店員は平謝りするばかり。一方、新規で購入する人も入荷台数がわかっているのに整理券が配られず、12時まで待たなくてはいけない。これには納得がいかないのだろう、並んでいる人たちから、文句を言う声が聞こえてきた。店員も本部から連絡が来るたびに情報が変わっていて、非常に困っていた。

 ちなみに、会社の仲間からの情報では午前7時から先行販売を行ったソフトバンク表参道では、iPhoneを購入できるのはMNP(ナンバーポータビリティ)を含まない新規契約と機種変更だけだったという。MNPの人は、9時から手続きを始めるとの案内があったそうだ。

●整理券入手の連絡で、渋谷のビックカメラにまたまた店を変更

 ソフトバンクショップの対応に唖然としていた私のもとに午前10時過ぎ、渋谷のビックカメラに並んでいたO君から連絡が入った。整理券が配られたあとしばらく待たされたが、今ようやく説明が終了して解放されたとのことだった。そこで、私は、ソフトバンクショップで並ぶのを諦め、彼から整理券を受け取ることにした。

 渋谷のビックカメラでは、整理券の番号ごとで受付時間が指定されていた。私がO君からもらった整理券では13時40分から手続きができた。店によると受付時間に遅れた場合は、夕方以降の手続きになるという。当日、私には18時から予定があった。どうしても遅れるわけにはいかない。受付時間の少し前には着くように渋谷のビックカメラに急いだ。

 渋谷のビックカメラの入荷台数は全部で40台で、意外と少ないと思った。ちなみに私が購入したのはカラーが白でメモリ容量は16GBのモデル。店員と話すと、「私がこれまで手続きしたのは白がほとんどです」とのことだった。入荷台数は白の方が多かったのかもしれないと思った。

 店に着くと早速手続きを開始。事前情報でiPhoneではパケット定額サービス「パケット定額フル」とネット接続サービス「S!ベーシックパック(i)」に入る必要があることは知っていた。しかし、店頭では「本日の手続きではWホワイトに入っていただく必要があります」と言われた。

 こう言われて私には不満と疑問の念が渦巻いていた。しかし、あまり追求しても仕方がないと思い直し、言われるままにサービスに加入することにした。この点についてはお客からの質問が多いのだろう、店員は解約する方法までていねいに教えてくれた。

 一連の手続きが終わると「17時頃の受け渡しになります」と言われる。時計を見ると、あと3時間もある。仕方がないので近くの喫茶店で仕事をしながら時間を潰すことにした。

●結局、11日には受け取ることができず翌日に持ち越し

 ヒマだったので16時頃、ほかの場所でiPhoneを購入しようとしていた会社の仲間に状況を聞いてみる。大田区の池上で購入した人は既に受け取り済みだった。一方、蒲田で買った人は、今ようやく受け取れるとの連絡を受けて店に向かっているとのことだった。

 18時から予定がある私としては、いてもたってもいられなくなり、17時少し前に、渋谷のビックカメラに手続きが終わっているか確認の連絡を入れた。すると、「開通はしているんですが、手続きに時間がかかっているので、お渡しは18時頃になる予定です」との答えが返ってきた。

 店員によると、「手続き」とは開通した後の人的処理とのことだった。18時から予定がある私は、次の日も早い時間から1日中動かせない用事がある。だからといって、「予定があるから順番を無視して先に処理してほしい」というのは土台無理な話だ。困った私は、「代理人や、明日の引き取りでも大丈夫ですか」と質問してみた。すると、「問題ない」との答えが返ってきた。

 そこで最後の頼みの綱の夫に相談。次の日に引き取りに行ってもらうことにした。会社の仲間に頼んでもよかったのだが、引換券を渡したり、iPhoneを受け取るためにどこかで待ち合わせるのは面倒だなと思ったからだ。

●追い求めること1日半、ようやく念願のiPhoneが自分の手に

 翌日の7月12日、昼頃に夫から「ゲットしました」というメールをもらう。夜、帰宅すると、そこにはピカピカのiPhoneの箱が。買い求めて走り回ること1日半、私はようやく、iPhoneを手にすることができた。

 家に帰った時間が遅かったので、その日は触らず、7月13日にPCのiTunesに接続し、ようやくiPhoneを動かすことができた。それから使えるようになるまで2日ほどの時間がかかったが、今こうやってiPhoneを使うことができるのは非常にうれしい。

 何かを買うために、開店前から店に並ぶのは初めてだったが、会社の仲間と連絡を取り合って並んでいる店の情報を聞いたり、iPhoneを求めて一緒に並んでいる人たちと話すことはなかなか楽しい経験だった。手にしたiPhoneはまだ、十分には使いこなせていないが、これからめいいっぱい活用しようと思う。(アバンギャルド・栃尾江美)