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広がる薄型テレビブランドケータイ、各社の戦略は?(前編)

インタビュー

2008/02/18 00:37

<strong>――シャープAQUOSケータイ」</strong>
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 ワンセグ対応携帯電話の普及が進む中、メーカー各社は「薄型テレビブランドケータイ」を次々と投入し始めている。自社の薄型テレビブランドを携帯電話にも冠したもので、08年の春の携帯電話市場はテレビブランドケータイの競争が激しくなりそうだ。そこで、テレビブランドケータイの狙いや今後の方向性についてメーカー各社の動向を取材。前編では「AQUOSケータイ」のシャープの戦略をまとめた。

●「AQUOSケータイ」でテレビブランドケータイで先陣を切ったシャープ

 薄型テレビブランドケータイで先行したのはシャープ。ボーダフォン(現ソフトバンクモバイル)向けに06年5月、液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の名前を冠した「AQUOSケータイ」の携帯電話第1弾「Vodafone 905SH」を発売した。その後、NTTドコモやauKDDI)にも展開。07年10月末には累計出荷台数が500万台を突破した。

 「AQUOSケータイ」はAQUOSの高画質技術を使った大型液晶ディスプレイと、高性能な画像処理回路を搭載したワンセグ対応端末。ワンセグを視聴する場合に画面を横に90度回転して横表示する「サイクロイドスタイル」を採用したデザインが特徴だ。


 シャープでは07-8年の秋・冬、春モデルでは、ソフトバンクモバイル向けに「920SH」「822SH」、au(KDDI)向けは「W61SH」、ドコモ向けでは「SH905iTV」を投入する。

 4機種はディスプレイに「NewモバイルASV液晶」を搭載。パネル構造は液晶と表面の保護パネルを密着し、隙間をなくして屋外で太陽光などの乱反射を抑える「リフレクトバリアパネル」を採用する。色再現性を高め、2000:1のコントラストが可能な画像処理回路「SVエンジン+」、色再現率の高いバックライト「高演色バックライト」も備えた。


 ソフトバンクモバイル向けの「AQUOSケータイ」を担当する、シャープの吉高泰浩・通信システム事業本部パーソナル通信第二事業部商品企画部部長は「『AQUOSケータイ』では、テレビ機能を載せた今までにないケータイを目指した。当初から『AQUOS』の名前を意識して開発を進めていた」と話す。また、「AQUOSケータイ」のコンセプトについて「(1)高品位の液晶(2)最高の映像エンジン(3)サイクロイドスタイル(4)高いデザイン性」と説明する。


 特にこだわったのは「サイクロイドスタイル」。自社の調査で判明した、電車の中などで大きな横画面でワンセグを見たいというユーザーニーズから生み出した。スィーベル(2軸回転)など数十種類の構造が俎上に上がったが、「満足できる端末には仕上がらなかった」(吉高部長)。検討を重ねた結果、採用されたのがサイクロイドだった。

 「920SH」は、3.2インチのフルワイドVGAをディスプレイに採用する。番組のジャンルに合わせ、「標準」「ダイナミック」などのモードを選択できたり、番組情報やメニューを透過表示機能で、「よりテレビの操作性に近づけた」(同)という。薄さも18mmを実現した。

 「822SH」は「『920SH』と同じデザインでスペックが違うという家電の考え方をケータイに取り入れた」(同)端末。ディスプレイを3インチのワイドQVGA、カメラの画素数を抑えるなどでコストダウンを図り、ユーザーが手の届きやすい価格を目指した。吉高部長は「『822SH』で、AQUOSケータイをもっと普及させたい」と意気込む。

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●デザインや高機能化で端末を幅広く展開、ユーザーの拡大を図る

 シャープでは、端末を供給する携帯電話会社ごとで、AQUOSケータイに新たなデザインや機能を拡充することで、ユーザーの拡大を図る。

 au(KDDI)向けではデザイン性を追求した。「W61SH」は、「女性もターゲットにできるAQUOSケータイ」を狙った端末。女性がカバンなどに入れやすいサイズと親しみやすいデザインにこだわった。


 サイズは、「110mmを超えると女性が抵抗感を持つ」(au担当の通信システム事業本部パーソナル通信第四事業部商品企画部の谷健氏)ことから高さを前モデルの「W51SH」よりも5mm減らし、104mmにした。液晶も2.8インチにあえてすることで「コンパクト感を出した」(同)。

 デザインはポリッシュ(磨き)とヘアライン加工したステンレスパネルと、ピンクとホワイト、ブラックのきょう体を組み合わせてカジュアル感を出した。時計や電話の着信などをLED(発光ダイオード)で表示する「LEDディスプレイ」は、「W61SH」だけに搭載した。


 au向け「AQUOSケータイ」を担当する後藤正典・通信システム事業本部パーソナル通信第四事業部商品企画部副参事は「これまでau向けAQUOSケータイはユーザーの3分の2が男性だった。今回の端末で女性ユーザーも幅広く獲得していきたい」と話す。

 一方、ドコモ向けの「SH905iTV」は、「映像」と「音」の機能を追求したモデルだ。キャッチフレーズは「ケータイシアター」。3.2インチのフルワイドVGAディスプレイを搭載する。


 最大の特徴はサウンド機能。米ドルビーラボラトリーズの携帯電話向け音響技術「ドルビーモバイル」を採用。ドコモ向け「AQUOSケータイ」を担当する、宮田雄介・通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部主事は「ワンセグはもちろん、音楽もコンサート会場にいるような臨場感で再現できる」と胸を張る。


 ワンセグの番組は音を大きく、CMでは音を小さくする音量レベルを調整する機能や、モノラル音源を擬似ステレオで再生する機能など、5つのサウンドモードを備える。スピーカー位置も工夫。左右非対称に配置して縦画面、サイクロイドスタイルでも自然なステレオ音声が楽しめるようにした。


 映像・音声機能の高性能化は動画・音楽配信を重視するドコモのコンテンツ戦略に沿ったものではあるが、ドコモ向け「AQUOSケータイ」を担当する、河内巌・通信システム事業本部パーソナル通信第一事業部商品企画部部長は「その時で液晶、機能ともに一番高いレベルの端末にすることで、『AQUOS』という携帯、テレビのブランド価値を上げる」と狙いを話す。

 吉高部長は「『AQUOSケータイ』が目指すのは『AQUOS』。テレビにできてケータイにできないことは山ほどある。他社は関係ない。いかに『AQUOS』に近づけるかが重要」と言い切る。

 ライバルメーカーもAQUOSケータイを追撃しようと、テレビブランドケータイを次々と投入してきている。後編ではパナソニック モバイルコミュニケーションズ(PMC)の「VIERAケータイ」、日立製作所の「Woooケータイ」についてピックアップ。薄型テレビブランドケータイの今後の方向性についてお伝えする。(BCN・米山淳)

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