今年の秋冬は、黒を基調としたデザインがトレンドだ。ファッションにとどまらず、日用品や食品、飲料などのさまざまな商品に「黒」が使われ、好調な売上げをマークしている。そんな「黒」ブームをデジタルで探した。

●素朴なギモン! いまなぜ「黒」がトレンド?

 流行色の研究を行っている財団法人・日本ファッション協会(JAFCA)は、今期の秋冬の流行色を、特殊加工を施した「黒」や「黒」をベースにしたコントラストのはっきりしたコーディネートだと分析している。もともと「黒」には、闇や恐怖、敗北、悪を象徴するなどネガティブなイメージがある。だが、ファッションやインテリアの世界で「黒」は、“小悪魔”や“クール”を連想させる色でもある“無機質で都会的”な色なのだ。

 食品や日用品業界では、衛生面などの理由で「黒」がタブー視されてきたが、いまやこのジャンルでも「黒」はブームになっている。黒ゴマやヒジキといった黒い食材を活用した製品や、ダイエットコーラなどのパッケージデザインに採用されるなど、健康や都会的なイメージを出す色として活用されている。日用品では、備長炭の天然素材を利用した「黒い石鹸」をはじめ、食材を見やすくする「黒いまな板」や清潔感や高級感を感じさせる「黒いトイレットペーパー」など、以前は想像もしなかった商品に「黒」が使われるようになった。「黒」は商品の「イメージ」や「機能性」を象徴する色として採用されているのだ。



 ファッションのトレンドと、その他のジャンルの黒ブームは本質的には異なる流れだが、ジャンルに縛られない形で「黒」の商品は好調な売行きをマークしている。


●「白モノ」にもブラックが浸透

 昔から家電業界では、冷蔵庫や洗濯機といったいわゆる「白モノ」家電と区別する形で、ステレオやテレビといったデジタル家電を「黒モノ」と呼んでいる。「白モノ」が主に家庭の主婦が使う製品であるのに対し、「黒モノ」のユーザーは男性がメインで、「黒」は「機能の高さ」や「精密」「高級感」といったイメージを象徴している。その意味では、家電・デジタル業界が、いまの黒ブームのさきがけをつくったともいえる。

 そして、「黒」ブームは「白モノ」家電にも及んできている。例えば、三菱電機の炭炊きIHジャー炊飯器「NJ?WS15A」は、炭炊きの上質感や和のイメージを演出するために「漆黒」を採用した。また、製品デザインで世界的に定評のあるLG電子では、ドラム式洗濯乾燥機の「WD-S85」のカラーバリエーションにブラックを採り入れた。



 この背景には、家庭におけるインテリアへのこだわりの変化が関係している。これまではホワイトかシルバーくらいしかフィットしなかったキッチンでも、「黒」が馴染むほど、ユーザーの色に対するニーズが多様化している。家電と同様に、「機能の高さ」や「高級感」、「和」のイメージを訴求する一つの方法として、「黒」を採用するケースがあるのだ。


●さらに黒にこだわった「黒モノ」家電も登場

 本家ともいえる「黒モノ」でも、黒ブームは影響しているようだ。もともと黒い製品が多いことで「黒モノ」と呼ばれていたデジタル製品だが、ここ2、3年は「iPod」に影響されるかたちで、白(ホワイト)が大人気だった。デジタル製品の男性的なイメージをなくすために採用されていたホワイトモデルだが、高級感やプレミアム感をだす意味でも、再び「ブラックモデル」が注目を集めている。


【ノートPC】
ソニーのPC「VAIO」ではウェブサイトで購入するオーダーメード限定カラーとして、「プレミアムブラック」モデルや、高級感あふれる「プレミアムブラウン」モデルを販売した。パナソニックでは「Let's note R7 プレミアムエディション」でジェットブラックモデルを限定販売する。シルバーボディが定着した同シリーズに新たな魅力を追加した。




【携帯電話】
ファッションと密接に連動する携帯電話でも黒は人気色。ウィルコムの「Advanced/W-ZERO3[es]」は、この9月に新カラー「ブラウニーブラック」を投入。「高級なチョコレート」をモチーフに、女性ユーザーへのアピールを強めるドコモの「L704i」は、「ブラックチョコレート」がカラーバリエーションの一つとして登場。




【コンパクトデジタルカメラ】
コンパクトデジタルカメラでは、ニコンの「COOLPIX S510」が大人の落ち着きを感じさせる「アーバンブラック」モデルをラインアップ。パナソニックの「LUMIX DMC-FX55」にも、これまで採用してきたブラックとは少し異なる「エクストラブラック」モデルを加えた。




【リビング家電】
家庭のリビングに設置するデジタル製品では、シャープの液晶テレビAQUOSシリーズにブラックフレームを採用。また、HD DVDドライブに対応した東芝の「VARDIA RD-A600」も、高級感あるブラックボディでリビングのインテリアにマッチする。家庭用ゲーム機の「Xbox 360」は、今秋「Xbox 360エリート」として上質感あふれるプレミアムブラックを採用した上位モデルを発売。




 これまでの「黒」と少し異なるのが、同じ黒系の色に見えても、色調や質感が少し違う新しいカラーリングの製品が増えている。黒ブームの影響を受けてか、デジタル製品でのプレミアムブラックの人気は高いようだ。

 ちなみに、「黒」は好景気のときに流行るというのが定説。「黒」が好きな人は個性的でお洒落ともいわれている。家電・デジタル製品を選ぶときには、こんな新しいタイプのブラックモデルに注目しよう。