一家に一台データ冷蔵庫、ホームサーバー「NAS」って何?

時事ネタ

2005/04/06 22:49

 始まりはデジカメでした。どんどん増える写真をどこに保存すればいいのやら。そしてそれはiPodで決定的になりました。40GBもの広大なスペースは暴力的ですらあります。私のPCのどこを探してもそんなスペースは残っていません――。そんなあなたにぴったりのストレージ、それが「NAS」。でもそれって一体何?

 PCのAV化にともなって、HDDエリアは猛烈に不足しはじめている。増設HDDのニーズは高い。しかし、これ以上USB機器を増やして線だらけにはしたくないし、写真や音楽は家族共有で楽しみたい。こんなニーズにNAS(Network Attached Storage)といわれるネットワーク接続ストレージはジャストミートだ。平たく言えばLANに直接つなぐハードディスク、家庭用データ冷蔵庫のようなものだ。

 登場以来好調な売れ行きを見せ、外付けHDDのなかでも売り上げ上位に顔を出すようになってきた。そこでまず、NASの売れ筋やお買い得機種などをにまとめ、さらに特筆すべきNASの特徴や今後の可能性について考えてみた。



     ★お買い得の容量はどれくらい?
      手頃でお買い得なのは250GBモデル。
      一番お買い得なのは500GBモデルだが、
      標準小売価格が5万円を越えており、やや別格か。

■初心者でもカンタン接続、売れ筋もお買い得も250G

 インターネットのブロードバンド接続が普及すると同時に、家庭でLANを使うのは当たり前になってきた。今や複数のPCを接続するのも珍しくない。そこに登場したのがネットワークに直結できる増設HDD、つまりNASだ。革新的なのはPCを介さないでネットワークに接続できること。従来のようにファイルサーバー用のPCが必要なく、シンプルかつ経済的で使い方も実に簡単。大抵の場合EtherポートにLANケーブルをプチッと差せば、初心者でもすぐに使えるようになる。

 「BCNランキング」3月最終週(3月25日?4月4日)では、250GBクラスが2位と5位にランクイン(表1)。標準小売価格ベースで1GBあたりの価格が安く、お買い得なのも今のところ250GBクラスだ。実勢価格で3万円前後がひとつのラインになっている(表2)。また最近ではギガビット(1000BASE-T)対応の高速タイプも出始め、高速化も進みつつある。

 それほどの大容量を何に使うのかと思うかも知れないが、静止画・音楽に加え、音声付の動画を日常的に扱うようになれば、すぐに手狭になることは明らか。なるべく大き目のものを手に入れておいたほうが無難だろう。

■USBポートで広がる用途、プリンタサーバーも任せろ

 機種によっては、Ethernetポートの他にUSBポートを備えたものもあり、なかなかに便利な使い方ができたりする。例えばUSBポートにプリンタを接続することで、プリンタサーバーとしても使える機種もある。また、USBポートにもう一台の外付けHDDを接続し、手軽にHDDの増設ができる機種も。このようにネットワークHDDにおけるUSBポートの存在は思った以上に大きく面白い。今やNASのほとんどがUSBポートを備えているが、使える範囲はそれぞれの機種で細かく異なる。購入の際にはぜじっくりチェックしたいポイントだ。

■単なるストレージにとどまらず、AVのキーステーションとして

 NASを語る上で忘れてはならないのが「ネットワークメディアプレーヤー」との連携だ。ネットワークメディアプレーヤーとは、PCに録り貯めた動画ファイルなどを家庭用のTVで再生する機器。NASとの組み合わせで、DVD/HDDレコーダーに続く、あるいは置き換わるかもしれないとも言われる注目株だ。

 ネットワークメディアプレーヤーの中には、PCなしでネットワークHDDと直接接続できる機種も多い。例えばアイ・オー・データ機器の「AVeL LinkPlayer」は自社製の「LANDISK」と組み合わせて、同様にバッファローのネットワークメディアプレーヤー「LinkTheater」は自社製の「LinkStation」組み合わせることで、ホーム・AVサーバーシステムを構築できる。

■すでに“テラ”クラスの巨大ストレージも

 現在、ラインアップの主流は160?300GBクラスだが「ええいチマチマ増設は面倒だぁ」と考えている向きには最大容量1.6TBという大NASもある。バッファローの「TeraStation」は400GBのハードディスクを4連装した堂々のテラバイトクラス。これ1台あれば当面の間ディスク容量に悩まされることはないだろう。

 メーカー、機種ともに豊富になり、幅広いユーザーのニーズに対応できるようになってきたNAS。今後ますますPCのAVユースが広がるにつれ、記録媒体の中心的な存在になっていきそうだ。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)