「FUNマネジメント理論」で脚光――第28回

千人回峰(対談連載)

2008/09/22 00:00

Jinsoo Terry

Jinsoo Terry

AGC プレジデント

自分の欠点直す過程でFUN理論の基礎作る

 奥田 コミュニケーション能力に欠けていたというわけですか。

 Terry はい、そのことに気がついたものですから、次の会社では、この点を徹底的に改めることにしました。

 奥田 次の会社というのは?

 Terry 1993年に、カルロスという女性向けアパレルを作っている会社に入社し、生産担当を任されました。私が受け持ったときの不良品率は10%くらいあったのですが、これを半分に減らそうという目標を立てました。その実現のために最初にやったことは、部下たちと昼食を一緒にすることでした。そして、毎日1時間のミーティング時間も設けることにしました。1回につき大体10人ずつの参加で、会社のことは5分から10分程度で済ませてしまい、休日は何をしたかといった、個人的な話も積極的にさせるようにしました。自己啓発が目的で、それを効率的に行うにはどうしたらいいか、私自身、試行錯誤を繰り返していました。

 その過程で、自信をつけさせる方法、失敗を恐れずにチャレンジさせる方法などが見えてきたのです。パーティーも月に1回は開くようにし、仕事がうまくいった人はもちろん、失敗した人も何かいいところを見つけて褒めるようにしました。

 私自身についていえば、家では笑う練習を一生懸命やっていました。私って目が小さいんですが、どう笑えば魅力的に見えるかなんて思いながら、鏡とにらめっこです。

 奥田 笑う練習ですか。その成果か、すばらしい笑顔ですね。

 Terry ありがとうございます。とにかくこの会社での試行錯誤がFUNマネジメントの原点になりました。

 奥田 FUNの話は後で改めて伺うとにして、会社での実績はいかがだったんですか。

 Terry 結果として不良品率は1%にまで下がりました。私は最初はマネジャーだったんですが、ディレクターになり、最終的には副社長まで昇進しました。

 多くの同業会社が潰れていきましたが、カルロスは人を大事にしてきた成果がでて、生き残ってます。

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