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ゲーミングスマホの先駆け「ASUS ROG Phone」、ビックカメラがいち早く専用売り場を設けたワケ

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2022/06/29 18:00

 2018年に日本市場にゲーミングスマートフォンであるROG Phoneが初めて登場し、今ではスマートフォンのひとつのジャンルとして確立している。そのゲーミングスマホを家電量販店として、いち早く目をつけ、専用の売り場を設けたのはビックカメラだ。なぜ、当時はまだニッチなゲーミングスマホにいち早く目を付けたのか。売り場を設けることへの期待や魅力、強みについて聞いてきた。

取材・文/岡安 学  編集・写真/南雲 亮平

ビックカメラの売り場に展示されているROG Phone 5s

―― かなり早い段階からゲーミングスマホの展示に踏み切りましたが、どのような期待があったのでしょうか。

ビックカメラ マーケティング本部 商品部 ICTカテゴリマネージャー 桑野 純氏(以下:桑野) 当時はゲーミングPCが盛り上がり始めていた時期で、ちょうどROG Phoneがリリースされたタイミングでした。ROGはゲーミングPCとしてブランド力がありましたし、そのROGからスマートフォンが出るとなれば、是非とも店舗で展開していきたいと思いました。
 
ビックカメラ マーケティング本部 商品部 ICTカテゴリマネージャー 桑野 純氏

 スマホとしてはかなりのハイスペックマシンだったので、いわゆる通常のスマホとしてではなく、ゲーム専用のセカンドマシンとしてアピールしていきました。なので、売り場もスマートフォンのコーナーだけではなく、ゲーミングPCのコーナーに設置することもありました。

―― 専用の売り場を展開してから大分経ちました。当時はゲーミングPCの流れを汲んでいたとのことですが、現在はどのような立ち位置になっているのでしょうか。

桑野 まず、ゲーミングPCの注目度はかなり上がっていて、売り場としては盛り上がっています。ゲーミングスマホはPCに比べると、そこまでの盛り上がりはみせていませんが、展示する機種数も増え、多くのお客様が手に取ってみられるようになりました。今後、ゲーミングスマホの認知度が上がっていけば、もっと盛り上がると思います。伸びしろは十分にあります。

 最近はスマートフォンでも本格的なゲームタイトルがリリースし始めており、ユーザーはゲーミングPCのようにハイスペックマシンを求められるようになると見られます。PCやコンシューマ機で人気の「Apex Legends」も今ではモバイルで楽しめますし、どうせモバイルで遊ぶのであれば、より良い環境でプレーしたくなります。そこでゲーミングスマホの出番になるわけです。
 

―― ゲームタイトルが増えていくにつれ、ゲーミングスマホの需要も増えているのでしょうか。

桑野 売上げは伸びています。展示をし始めた頃に比べてラインナップも増えており、元祖ゲーミングスマホであるROG Phoneには固定ファンもいます。限定モデルはあっという間に完売したほどです。

 最初にゲーミングスマホが売れたきっかけとなったのは、ROG Phoneの2モデル目でした。期間限定で特価販売するキャンペーンをきっかけに、かなり売れるようになりました。
 

―― きっかけはキャンペーンでしたが、その後、ユーザーがゲーミングスマホを選ぶ理由は?

桑野 やはり高性能であることですね。ゲーミングスマホではないスマホが同じプロセッサを積んでいたとしても、ゲーミングスマホはその機種専用にオーバークロックされているものもあり、より性能を引き出しています。

 あとは、豊富な周辺機器やパーツが多いところですね。ゲーミングPCはゲーミングキーボードやゲーミングマウスなど専用の周辺機器を使うことで、より快適にプレーすることができるようになっています。ゲーミングスマホも同様で、支持を集めているROG Phoneはコントローラーだったり、冷却ファンだったり、横画面でプレーしながら充電してもケーブルが邪魔にならないようにUSB端子が側面にもあったりと、ゲームをプレーするためにピッタリの環境が整っています。

 また、通常のスマホは充電しながらの使用はほとんどの機種で推奨されていないのですが、ROG Phoneは周辺機器の冷却ファンやゲーミングスマホの排熱構造なので、充電しながらでも熱暴走をせずに快適にプレーをすることができます。周辺機器自体は結構種類があるのですが、秋葉原の一部の店舗では、ROG Phoneのアクセサリーをすべて展示し、見て貰えるようにしたこともありました。
 
店頭では実際に使い心地を確かめることができる

―― 高性能なゲーミングスマホを求めるのはどのようなユーザーなのでしょうか。

桑野 ゲーミングスマホは高性能な分、値段も高くなってしまいます。なので、高級な端末の購入に躊躇せず、ゲームを趣味としている30代がメイン層ですね。先ほども言いましたが、メールやSNS、ブラウジングなど通常のスマートフォンとしての利用はメインマシンで行い、ゲームをプレーするためのセカンドマシンとして購入される方が多いです。

 固定ファンが多いので、商品リリースのタイミングで予約できるかを聞かれることが多いですね。特にROG Phoneは根強いファンがいるので、毎回、一定数の予約があります。他のゲーミングスマホではなかなか見られません。

 あと、一時期ゲーミングスマホを買い求められる方の中に「アイドルマスター」のファンの方がいらっしゃいました。当時、アイドルマスターのライブシーンは通常のスマホでは高画質設定でのプレーが難しいほど要求スペックが高かったのです。なので、対応するスマホもほとんどありませんでした。ところが、ゲーミングスマホ、特にROG Phoneはこの要項に当てはまっていたので、「アイドルマスター」の熱狂的ファンは、最高画質でライブシーンを観るために買い求められていました。
 
ゲーミングスマホ黎明期を振り返る桑野氏

―― ゲーミングスマホの真価が発揮されたわけですね。それでは、今後のゲーミングスマホに期待することはなんでしょうか。

桑野 いまは2台目として使用している人が多いですが、ハイスペックスマホとしてメインマシンとしても利用できるような環境を作っていきたいです。ゲーミングPCもゲーマーだけでなく、映像やグラフィックのクリエイターなどに重宝されていますので、ゲームとは違う目的で高性能マシンとして使用していただけるように仕掛けていきたいです。

 Nintendo Switchを楽しんでいる子どもたちの世代が、スマートフォンを購入するようになったとき、ゲーミングスマホを手に取って貰えるような状況が理想です。リアル店舗としては、店舗にゲーミングスマホのコーナーを常設することで、実際に触ってもらえるようにしていきます。それはリアル店舗の使命であり、利点であると考えています。

 また、最近のスマホは機能的にもデザイン的にも横並びになっている印象で、個性を出すのが難しくなりつつあります。一方で、ゲーミングスマホはデザインからスペックまで尖っており、あきらかにメインストリームのスマホとは一線を画しています。本体のあらゆるところが光ったり、薄さや軽さを無視したゴツゴツとした無骨なデザインだったりと、ほかにない魅力だと思います。こうした点を前面に出して、認知度を拡大していきたいです。