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ロピア、エイビイ……存在感増すポイント経済圏に入らない「現金オンリー」スーパー

 2020年に関西に進出した激安スーパー「ロピア」が、中部地方の岐阜県に初めて出店するという報道があった。京都駅前の京都ヨドバシ店に続き、関西エリア8店舗目として、「ロピア 神戸岩岡店」も1月26日にオープンした。記者が初めて神奈川県内のロピアの店舗を利用したのは5年ほど前だが、ここ数年の急激な店舗拡大には目を見張るものがある。

神奈川県藤沢市で精肉店として創業、現在は川崎市に本社をおくロピア

 ロピアは現在、一部店舗を除き、現金決済オンリーのため、キャッシュレス派、特に月間利用回数や年間利用金額に応じた優遇プログラムがあるキャッシュレス決済サービスを利用している層には「キャッシュレス決済(クレジットカード・電子マネー・コード決済)に対応していない」という点ですこぶる評判が悪い。なお、20年4月末までは利用者がコードを読み取るユーザースキャン方式で「PayPay」をトライアル導入しており、レジのオペレーションの効率性と決済手数料から正式導入を見送っていると考えられる。
 
キャッシュレス決済サービスは不安(セキュリティ・使いすぎそう)という声は根強い

 イトーヨーカドー、東急ストア、ライフ、オーケー、サミットストアなど、大手・中堅スーパーが軒並みコード決済(スマートフォン決済)を導入し、PayPay、au PAY、楽天ペイ、メルペイなどの主要コード決済サービスが、「スーパー全般」「対象スーパー」でキャッシュレス還元キャンペーンやお得な割引クーポンを配信する。そうしたなか、ヤオコーグループのエイビイ・フーコット、マミーマートの「生鮮市場TOP」など、ロピア同様に現金オンリー・原則折込チラシなしを打ち出す地域密着型スーパーも出店は増加傾向にあり、フーコットはウェブサイトや店頭で現金決済のみ・ポイントカード未導入とする理由として「コスト」を挙げている。
 
「安さの理由」を公言するヤオコーグループのフーコットとエイビイ(ave)。
フーコットは埼玉の1号店に続き、今年3月、2号店に東京・昭島もくせいの杜にオープン予定。
エイビイは2月16日に海老名店がオープンした

 また、市場外での相対取引による譲渡によってロピア・ホールディングスがスーパーバリューの株式を取得し、2月10日付で第2位の大株主となったと分かった。スーパーバリューは、東京・埼玉・千葉に出店する現金決済優遇・クレジットカードが利用可能なスーパー。一部の店舗はスーパーにホームセンターも併設する。この主要株主の異動に先立ち、今年1月10日からスーパーバリューは、チラシ広告の新聞折り込み休止と引き換えに、現金決済時のみ独自のポイントを付与するポイントカードを現金決済で4%・クレジットカード決済で3%割り引く方式にリニューアル。会員カード提示時の値引率を従来より拡大した。小売業にとって、チラシ印刷・折込費用、ポイントカード、決済手数料の順に負担が大きいことがうかがえる。
 
スーパーバリューの会員割引リニューアルの告知

 一方、西友は、4月26日から楽天ポイントカードのサービスを導入すると予告している。会計時にポイントカード・アプリを提示すると、楽天ポイントがたまる・使えるようになり、いわゆる「楽天経済圏」に加わる。同じタイミングで楽天カードとの連携強化が始まるとも予想されている。昨年から今年にかけ、楽天ポイント・Pontaポイント・PayPayなどの「○○経済圏」に加わらない現金オンリースーパー、がっつりとキャッシュレス決済・共通ポイントを軸とした「○○経済圏」に乗り、ニュースサイトでロゴや店舗名の露出を増やし、知名度を出店地域から全国に広げるスーパーなど、正反対の動きが同時に起こっている。現金を一切使わず全てキャッシュレス決済で支払いたいキャッシュレス派も、現金オンリースーパーがなぜ安いのか、なぜ増えているのか、理由は認識しておこう。(BCN・嵯峨野 芙美)