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シャープ、Androidスマホで4年連続No.1! 「AQUOS sense」大人気の裏側

経営戦略

2021/01/25 07:05

 全国の家電量販店ネットショップPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、AndroidをベースにしたOSを搭載するスマートフォン(以下、Androidスマホ)市場において、2020年の年間販売台数No.1に輝いたメーカーは、シャープだった。今回で4年連続となるNo.1に大きく貢献しているのは、エントリーからミドルまで幅広いラインアップ を揃える「AQUOS sense」シリーズ。多くの支持を集める同シリーズの生まれた背景や新製品に込めた想いを、開発陣に聞いた。

2020年のAndroidスマホ販売台数シェアで約4分の1を占めるシャープ

 20年のAndroidスマホ市場をBCNランキングで振り返ると、1位シャープのシェアは24.4%。2位とは10ポイント近い差という圧倒的なシェアを獲得している。この4年間の人気を常に支えてきたのが、幅広いニーズに応える「AQUOS sense」だ。性能と価格のバランスが整っており、スマホ初心者だけでなく、同じ製品をSIMフリー版としても販売していることから、コストパフォーマンスを重視するスマホに詳しい人にも受け入れられている。
 
シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部の平嶋侑也主任(左)
と清水寛幸課長(右)

変わり続ける「必要十分」

 AQUOS senseシリーズの開発を担当する通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部の平嶋侑也主任は、「必要十分な機能・性能」をコンセプトに据えて開発していると力強く語る。「感覚的に使えるもの」「なんとなく、いいと思える」「言葉にできない心地よさ」を目指して開発された同シリーズは、ニーズにピタリと当てはまった製品だったわけだ。

 ただ、スマホに求められる「当たり前」は、年々高度化している。5~6年前は電話やメールなどの機能が主流だったが、次第に高画質な画像を見るようになり、音楽を聴くようになり、ついには動画やライブ配信を楽しむようになってきた。時代にあわせてスマホも進化していくのは、必然ともいえるだろう。
 
シャープのスマートフォン「AQUOS sense4」

 こうしたニーズをストレスなく実現するため、シャープはその時々にあわせて「必要十分」を定義し続けている。テスターによる試用や幅広いユーザーへのヒアリング、市場調査を重ね、機能と性能を絞り込んでいく。その際には、価格への配慮も忘れない。「あくまでニーズありきだが、必要十分を実現するには手に取りやすいというポイントは重要。価格も欠かせないスペックになる」と、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部の清水寛幸課長は語る。

 手に取りやすいのは、「手ごろな価格だから」という理由だけではない。AQUOS senseシリーズが初代から一貫して特徴として挙げている「電池の持ち」も選ばれる理由の一つだ。そのパワーはなんと“1週間の電池持ち”。1日1時間の使用を想定した計算ではあるが、12時間通しで動画を視聴することもできる。1日普通に使って充電し忘れたとしても、翌日も問題なく使えるスペックだ。

 シリーズの数字を重ねても、この電池持ち性能は引き継がれてきた。スマホのスペックが上がるたびに消費電力も上がるはずだが、排熱や省エネ性能を向上させることで効率化し、駆動時間を確保し続けている。なぜ、電池持ちにそこまでこだわるのか。

 清水課長は、「とりわけ二つ折りケータイから移行してくる方々に人気が高い。スマホを使う頻度が低く、小まめに充電する習慣がなくても、senseシリーズなら同じような使用感で使い続けることができる」と理由を説明。シンプルスマホモードも備えているので、スマホに馴染みのなかった方の入り口としても活躍しているようだ。
 
AQUOS senseシリーズのこだわりについて語る平嶋侑也主任(左)と
清水寛幸課長(右)

日常が変わればスマホも変わる

 進化を重ねたAQUOS senseシリーズは、誕生から約4年で「AQUOS sense4」までバージョンアップしている。21年春モデルの新製品として登場する「AQUOS sense5G」は、20年秋に発売したAQUOS sense4の5G対応版。最新の通信規格への対応にともなって、機能も拡張している。
 
AQUOS sense5G

 画面はAQUOS sense4と同じく5.8インチのIGZO液晶ディスプレイを搭載し、テレビ「AQUOS」シリーズで培った技術を惜しみなく投入している。また、洗面台からはねた水やちょっとした雨で濡れても問題ないよう、IPX5・IPX8/IP6Xの防水・防塵性能を備える。おサイフケータイ機能/NFCにも対応し、日常での使い勝手はバツグンだ。

OSは最新のAndroid 11に対応。CPUは「Snapdragon 690 5G」を備え、従来機種「AQUOS sense3」の約2.4倍の性能を持つ。これにより、Webページの閲覧や動画再生など、あらゆる操作が快適になった。アウトカメラは標準、広角、望遠の3眼。細かい設定を調節しなくても、撮影した写真を自動でキレイに仕上げてくれる。一台で生活のさまざまなシーンを支えてくれる端末だ。

 また、5Gによる高速・大容量通信を活かす新機能として、「テザリングオート」機能を搭載。自宅にいるときだけテザリングを自動でONにするので、無駄なくPCやタブレット端末を高速インターネットに接続できる。さらに、動画視聴時にワンボタンで画面を上下2段に分割表示し、上段で動画を見ながら下段でインターネット検索やSNSを同時に使える機能も備える。“ながら見”にはうってつけの機能だろう。

 このほか、AQUOS sense4で使える基本機能はもちろん搭載している。QRコード決済が普及してきていることから、指紋センサーを数秒押し続けることで決済アプリを起動できる「Payトリガー」。ウェブサイトやSNSなどを自動でスクロールする「スクロールオート」。指1本でスクリーンショットが撮影できる「ClipNow」など、時代にあわせた使いやすさを追求している。

 このように、AQUOS sense5Gは5Gを活かせる端末ではあるが、肝心の5G通信網はまだ設備を整えている最中。普及しきってはいない。それでも、今5G対応端末を手掛けるのは、「各通信キャリアからは、5G通信を含んだ容量で手ごろなプラン が続々と登場している。家に光回線を引いていなくても、使い放題ならテザリングで5Gを介した高速通信が可能になる。サービスによっては、家計の負担を軽くしてくれるかもしれない」(平嶋主任)と将来に期待を寄せているからだ。

 さらに、AQUOS sense5Gにはその優れたコスパを活かして、5Gへの入り口となることも期待されている。「『5Gに対応していてよかった』という体験を、最新技術に興味のない人にも届けたい」と清水課長は想いを語る。消費者の楽しむコンテンツが増えるにつれ、通信の需要はますます上がっていく。そうした時に、ストレスなく自然に楽しめる手段としてAQUOS senseシリーズは今後も進化を重ねていくという。5年連続のシェアNo.1なるか、今後も注視していきたい。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。