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ビックカメラ初の百貨店出店、「日本橋三越」で富裕層狙う

 ビックカメラは2月4日、三越伊勢丹が運営する日本橋三越本店・新館6階に7日オープンする「ビックカメラ 日本橋三越」の記者会見を開催した。ビックカメラとして、百貨店の富裕層を対象にした初の店舗となる。三越伊勢丹にとっても家電専門店とコラボレーションする新たな試みとなる。

2月7日にオープンする「ビックカメラ 日本橋三越」

 ビックカメラの宮嶋宏幸社長は「看板に『日本橋KADEN』とあるように、これまでとは違ったスタイルで新しいお客様を迎え入れる」と語り、価格やポイント訴求だけではなく、来店客に相対しながら納得いくまで接客して、購入後のアフターサポートも丁寧に時間をかけて対応することをアピールした。

 また宮嶋社長は「日本橋は家電製品を購入したいと思うお客様が多いが購入できる場所がなかった。(日本橋三越本店を利用する)富裕層の方々も、だれに相談すればいいのか困っておられるという話を聞いた。三越の外商の方々と協力しながら、家電専門店とは異なる業態とのコラボレーションで新しい化学反応が起きることを期待する」と、これまでビックカメラがカバーしていなかった富裕層をターゲットにしたビジネスへの抱負を語った。
 
ビックカメラの宮嶋宏幸社長(左)と三越伊勢丹の杉江俊彦社長執行役員

 新たな店舗運営を象徴するのが「クオリティタイムゾーン」という商談スペースだ。いくつかの大きなソファーを用意して、ゆっくりと時間をかけながら顧客のニーズや困りごとをヒアリングしながら最適な提案を行う。

 また、フランスの高級オーディオのスタートアップ「Devialet(デビアレ)」社の高音質ハイファイサウンドを実現するスピーカーが視聴できるスペースを用意したり、パナソニックの美容家電の百貨店専用モデルを展示するなど、通常のビックカメラの店舗では体感できない品揃えをする。
 
ソファーに座って商談できる「クオリティタイムゾーン」
 
「Devialet(デビアレ)」社の高級スピーカーが視聴できる

 接客は、三越の教育研修を受けて、商品カテゴリーも横断的に提案できる「家電コンシェルジュ」と称する販売員40人が、三越のスタイリストと称する販売員と連携しながら対応する。制服も、通常の赤色のベストではなく、三越の制服に合わせたスーツを着用する。
 
スーツを着用して接客するビックカメラの「家電コンシェルジュ」

百貨店に「家電売り場」が復活

 三越伊勢丹の杉江俊彦社長執行役員は「百貨店は百貨というように昔は家電も扱っていたが、効率化の中で商品を絞り込んでいった。結果的にお客様から見ると婦人服をたくさん売っている店になっていた。顧客の多様化やデジタル化に伴って、来店もらうための魅力をもう一度つくりなおさなければいけない」と、家電売り場をつくることが長年の夢だったことと、欧米では10年前から百貨店で家電売り場が復活していることを交えながら語った。

 また「今の家電は、これまでの家電というくくりではとらえられないアイテムになっている。5Gの開始ととともに家庭内の電化製品はさらに外とつながり、お客様の生活から切り離せない商品になっているのに、われわれが扱わないということは絶対にありえないと思っている」と、次世代の百貨店像を見据える。実際に、会見で着用した杉江社長自身のスーツも、宮嶋社長から紹介されて購入したというスチームウォッシャーの「LGスタイラー」で仕上げたことを披露した。

 ビックカメラとの契約形態はスペース貸しの定期借家契約だが、杉江社長は「一緒につくっていくプロジェクトだ」と語る。ビックカメラの商品力やシステム力と、三越伊勢丹の優良な顧客を結びつけることによる新しい価値の創出を目指す。

 売場面積は約1200平方メートル。ワンフロアには「クオリティタイムゾーン」のほか、店頭入口で話題性や季節に応じた最新家電を展示する「ウェルカムゾーン」と、既存のハイグレードな白物家電やビューティー家電、カメラ、テレビ、オーディオなどを展示する「ビックカメラゾーン」の三つから構成される。
 
白色を基調にした「ビックカメラゾーン」

 ビックカメラゾーンは、周辺の日本橋エリアのビル開発に伴って増えているビジネスパーソンもターゲットにする。プリンタのインクや用紙など、ビジネス関連の消耗品も取り揃える。

 日本橋三越本店からエスカレーターで昇ってきた顧客に違和感を与えないように、木目調の床や白を基調にした売り場で清潔感を演出したり、天井は作業効率を重視したメッシュ状ではなく天板をあてるなど高級感を醸し出している。また、お馴染みのビックカメラ店内で流れるテーマソングもジャズ調に変えて、ゆったりとした時間が流れるように意識している。(BCN・細田 立圭志)