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モバイルオーダーが人気の街を変える? 「O2O」は身近に店舗があってこそ

オピニオン

2019/07/04 18:10

 LINEは、6月27日に中小規模飲食店向けタブレット型オーダーシステム「LINEポケオ for biz」を活用したテイクアウトサービス「LINEポケオ」を本格スタートした。同時に本格サービス開始を記念し、各飲食チェーンの人気メニューが店舗ごとに一人1点まで税込100円でテイクアウトできる「100円ポケオごはんキャンペーン」を展開。想定を上回る注文が入り、開始日の夕方にアクセス集中が発生、一部の店舗で注文受付を打ち切って終了、翌28日21時30分に全ての店舗でキャンペーンは終了した。

【参考記事】
・松屋の持ち帰り牛丼など100円! テイクアウトサービスの「LINEポケオ」で

https://www.bcnretail.com/market/detail/20190627_125914.html

 100円ポケオごはんキャンペーンの実施店舗は、すかいらーくグループの「ガスト」「ジョナサン」、松屋フーズグループの「松屋」「松のや」の4店舗。今後は、LINEポケオに「ぼてぢゅう」「大戸屋ごはん処」「ロッテリア」なども加わる予定で、2020年までに掲載店舗3万店まで拡大する計画。
 
「LINEポケオ」自体は4月から開始していたが、「100円ポケオごはん」キャンペーンをひっさげ本格
スタートした。しかし、「100円」という安さのため、好評につき、わずか2日弱で終了した
 

 記者は、初日の27日夕方、帰宅中の電車内でスマートフォンからLINEポケオにアクセスし、店舗への到着時間を見越して注文。店頭で特に待たされずキャンペーン対象商品の「たっぷりマヨコーンピザ」を受け取り、翌日以降、松屋の「牛めし(並盛)」か、松のやの「ロースかつ定食」、または別のガストの店舗で再度「たっぷりマヨコーンピザ」を頼みたいと考えていたところ、終わってしまい、早々に試して正解だったと思った。
 
「LINEポケオ」で注文できる店舗の例。位置情報や入力した検索ワードをもとに、
最寄りの店が注文可能時間とともに表示される

 LINEポケオのUIは分かりやすく、事前にLINEとLINE Payの設定が完了済みで地図が読めれば、直感的にオーダーできるはずだ。ちなみに、6月24日からテイクアウト限定で「マルゲリータピザ半額セール」を実施しており、こちらは7月10日まで、LINEポケオ経由で通常の半額でオーダーできる。

ネット・リアル連携と店舗限定「大幅割引」がもたらす弊害

 スマホから注文して自分で受け取って持ち帰るモバイルオーダー・テイクアウトサービスは、今年10月の消費増税後、食料品と同じ軽減税率(8%)が適用されるため、割安感から人気が高まると注目を集めている。
 
消費税率引き上げとともに、軽減税率制度が始まり、食料品とテイクアウト・宅配は引き続き、
税率8%に据え置かれる。外食やケータリングは税率10%適用だ(国税庁のWebサイトより)

 システムトラブルや早期終了など、マイナス点も目立ったが(あまりにも短すぎる感は否めない)、100円ポケオごはんキャンペーンは注文時や受取時に待たされないモバイルオーダー・テイクアウトサービス全般の便利さ、LINEポケオのサービス自体の知名度アップにだいぶ貢献しただろう。
 
「LINEポケオ」は、タブレットを活用した「LINEポケオ for biz」によるもの。
新たに中小規模の飲食店にも受付を開始した

 今回、キャンペーン内容を知り、思わず「安い」と思い、帰宅途中に遠回りして店舗に立ち寄った。普段より20~25分ほど余分に時間がかかったが、「100円」の魅力は捨てがたかったからだ。しかし、わざわざ通常よりプラス20分ほど費やして100円ごはんをゲットするより、20分長く仕事をするか、20分早く帰って家事をやったほうが賢い時間の使い方だったかもしれないと、後ろめたい気持ちもある。
 
通常は税別価格499円のガストの「たっぷりマヨコーンピザ」(右)。この大きさで何と100円だった

 LINEは、新たなビジョン「Life on LINE」を掲げ、オンライン(ネット)とオフライン(リアル)をつなげるマーケティングの取り組み「O2O」を一歩進めた「OMO(Online Merges with Offline)」の概念で、オフラインの領域に進出する。
 
次なるビジョン「Life on LINE」。オフライン、フィンテック、AIをキーワードに、
ユーザーの生活全てをサポートするライフインフラを目指す

 もし今後も、販促キャンペーンとして、頻繁に「100円」や「半額」といった飲食店のクーポンが登場するようなら、駅周辺や駅ナカ、車・自転車で行きやすい幹線道路沿いに、テイクアウトや宅配に対応する店舗がないエリアは、住宅地として人気が落ちかねないと感じた。都心のオフィス街もお得に利用できる飲食店の選択肢が少ないと、「イケていない」という評価になりそうだ。(BCN・嵯峨野 芙美)