外食大手でストロー廃止相次ぐ 水筒ブーム再び?

時事ネタ

2018/12/28 19:00

 米スターバックスが2020年までに全世界でプラスチック製ストローを廃止すると発表して以来、日本でも、全国チェーンの飲食店やホテルを中心に、ストローの素材や扱いを見直す動きが加速している。

 例えば、すかいらーくホールディングスは、20年に開催する東京五輪・パラリンピックまでに、全業態の使い捨てプラスチック製ストローの使用を順次取りやめると発表。ファミレスの「ガスト」では、12月10日から、ドリンクバーに常備している使い捨てプラスチック製ストローを廃止した。今後は、希望者のみ、トウモロコシを原料とした生分解性のバイオマスのストローを提供するという。

 また、ハウスメーカーのアキュラホームとザ・キャピトルホテル 東急は共同で、「Wood Straw Project(ウッドストロープロジェクト)」を立ち上げ、国内の間伐材を含む国産材を活用した世界初の「木材ストロー」を開発。さらにクレコ・ラボの協力を得て、3社で協議・試作を重ね、製品化した木材ストローは、長時間使えないという難点がある紙製、洗浄の手間が発生する非使い捨てのガラス製、ステンレス製といった代替品の有力候補になりそうだ。
 
ザ・キャピトルホテル 東急の3階ラウンジ「ORIGAMI」で19年1月から試験導入する世界初の木材ストロー。国産の間伐材を活用し、木造住宅の建築技術を転用して開発したという

 繰り返し使用可能なタイプのストローは、専用ブラシで洗わなければならないなど、手入れが面倒で、衛生面で懸念が残る。となると、エコと経費削減を兼ね、ストローを全廃した飲食店でストローを使うために、個人の間では、「マイストロー」より、そのまま持ち帰りできる「水筒」や「蓋つきカップ(タンブラー)」が普及するのではないだろうか。
 
保温・保冷機能重視ならステンレスボトルがおすすめ(写真はタイガー魔法瓶の新製品「MSK-A030」)
 
18年11月発売の真空断熱ボトル「RevoMax2」は、従来はNGだった炭酸やビールでも液漏れ・吹きこぼれしない高機能タイプ。入れたい飲み物に応じて使い分けたい

 エコブームや景気悪化を受けて、2009年頃、資源もお金も節約できる「水筒」が見直された時期があった。当時とは全く異なる理由で、およそ10年ぶりにブーム再来となりそうだ。特に、パーツを分解すれば食洗機で洗える直飲み・コップの2Wayタイプのプラスチック水筒は、大人用のニーズが高まると予想する。
 
軽くて扱いやすい食洗機対応のプラスチック水筒(筆者所有)。
今は子ども向けのキャラクターデザインが中心だ

 エコに協力するため、マイストローやマイカップ、マイ水筒などを持ち歩き、面倒な思いをするくらいなら、自宅でお店の味を再現しようと、本格的な家庭用かき氷器やアイスクリームメーカー、ソフトクリームメーカー、スロージューサーといった調理家電を求める人が増えるかもしれない。一見、些細に見えるプラ製ストロー廃止の影響は、外食業界にとどまらないだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)