<家電ANALYSYS>電子ピアノ、拡大路線維持へ正念場

時事ネタ

2017/07/01 12:00

 電子ピアノ市場が堅調に推移している。ここ2年間で販売金額が前年割れしたのは2回だけ。前年割れとなる月が何度かあったものの、販売台数も拡大基調を維持している。平均単価は6万円台後半から7万円台前半で安定的に推移しており、大きな値崩れも起きていない。しかし、今年に入って勢いはやや鈍化しており、これまでのアップトレンドを維持できるかはやや微妙になってきた。


 メーカー別では、カシオとヤマハがトップを争い、そこへコルグが絡み、上位3社から少し離れて、河合楽器とローランドがつけるという構図だ。なかでも伸びているのは、平均単価3万円台の低価格路線でトップ2を追うコルグ。販売台数前年比で150%前後の成長を続けており、カシオとヤマハのトップ争いに食い込んでいる。年末商戦期の2016年11月、12月には3割台のシェアを獲得し、一時は1位に躍り出た。現在の主力モデルは3万円台後半の「LP-180」で、低価格ながら基本的な要素は満たしている点が好評だ。
 

 5万円台後半の単価を維持しているカシオは、3割前後のシェアを占め、常に1位、2位を維持している。一時は3割台半ばでトップを走っていたヤマハは、このところシェアを落とし、3位に後退する場面も増えた。販売台数も前年比で2ケタ減を続けている。8万円台だった平均単価が11万円近くまで上昇しているのが大きな要因。高付加価値路線の模索が続いている。(BCNチーフエグゼクティブアナリスト道越一郎)


※『BCN RETAIL REVIEW』2017年7月号から転載

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