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1時間で1000本の販促動画を生成、「PIP-Maker」が小売業の生産性を革新

インタビュー

2017/03/30 12:00

 小売りの現場で特売情報や新製品に関するサイネージ動画を見かける機会が増えている。顧客の目に自然に入る動画情報は、販売施策として有効な手段だが、一方で制作・管理に手間がかかるというデメリットもある。

 4COLORSが開発する「PIP-Maker」は、まさにこうした現場の労力軽減に効果を発揮するソリューションだ。これまではオンラインセミナーやeラーニング教材の制作で活用されることが多かったが、3月30日に発表した「PIP-Maker for データベース」のターゲットは、商品マスタベースをもつ小売業者だ。

 具体的にどのようなコンテンツを生成できるのか、生産性はどのように向上するのか。代表取締役社長の加山緑郎氏に、ソリューションの概要とその可能性を聞いた。
 

「PIP-Maker」を開発する4COLORSの加山緑郎代表取締役社長

時間・場所・人のコストを大幅削減、「PIP-Maker」の仕組みとは?

 「PIP-Maker」は、「Microsoft PowerPoint」の資料をベースに、設定したアバターが動画のテキストを読み上げる動画制作サービス。資料情報に「人(アバター)」と「音声」を加えることで、リッチかつ表現力の豊かなPR動画や商品説明動画、eラーニングコンテンツを生成することができる。
 

「PIP-Maker」で生成した動画のイメージ

 「人が資料を説明する」という趣旨の動画を実際に撮影するとなると、機材・場所・人・時間など、多方面でコストや時間が発生する。「PIP-Maker」は機材・場所・人といった物理的な制約がないのはもちろん、Web上で背景やアバター、読み上げる音声テキストを簡単に設定できるので時間もとらない。修正が必要な場合も、机上ですべての作業が完了する。
 

動画素材の設定画面

 動画はHTML形式なので、データ容量が非常に軽い。加山氏によると「MPEG形式の約10分の1程度」だという。そのため、モバイルからの視聴でもあまり負荷がかからない。また、PowerPointのページごとに構成されているため、選択肢を表示してアンケート用途で活用することも可能。モバイルからのデータ編集・動画生成も5月頃に対応予定だ。
 

モバイルからの使用イメージ。アンケート用途にも活用できる
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商品マスタベースを活用できる「PIP-Maker for データベース」

 従来はPowerPointをベースにすることが前提だったが、新製品の「PIP-Maker for データベース」は、商品マスタベースに使用されることが多いデータベースやCSVに対応。膨大な品目数でも、フォーマットに沿って情報を入力しておけば、自動で要素を動画中に配置することができる。データはサーバー経由で読み込まれ、1時間で最大1000本の動画を生成することも可能だという。
 

1時間に最大1000本の動画を生成する仕組みを語る加山氏

 すぐに思い浮かぶ活用方法としては、店内で流すサイネージ動画が挙げられる。USBに保存した動画を直接ディスプレイに接続して映像を再生するという方法だと、対応するのは1台のディスプレイに限定され、動画を頻繁に更新するのも手間がかかる。だが「PIP-Maker for データベース」を導入すると、オンライン環境があれば、異なる店舗に一括で動画を配信できるし、瞬時に更新した動画への切り替えもできる。
 

店内サイネージの動画生成に最適。フォーマットを作成すれば、固定の位置に対応するテキストが自動で配置される

 個々の顧客に合わせた動画を配信できる点もユニークだ。この機能を活用すれば、購入履歴から特定の顧客の嗜好を読み取り、効果的な動画を割り当てることができる。例えば、食品を扱うECサイトであれば、トマトを購入した顧客にトマトのおすすめ商品や特売情報をピンポイントで提供する、といった活用が考えられるだろう。
 

「トマトを購入した顧客にトマト関連の動画を配信する」といったピンポイントマーケティングもできる

 「PIP-Maker for データベース」と同日に発表された、ロールプレイング研修に特化したソリューション「PIP-Maker for ロープレ」も、小売業との親和性が高い。

 こちらは、アバターを講師に見立てた「思考型」、顧客に見立てた「体験型」、提案側と顧客の2人のアバターによるかけ合いを再現する「共有型」などの動画生成が可能だ。

 新入社員を一同に集めて研修するにはスケジュール調整が難しいが、動画であれば各々が空いた時間にスキルを磨ける。場所を問わず視聴できる点や、ログ解析できる点もメリットだ。
 

ロールプレイング動画フォーマット(左から「共有型」「体験型」「思考型」)

 動画を媒体とする広告や研修資料は効果を認めつつも、コストや技術的ハードルから導入に踏み込めていない企業は多い。加山氏が「生産性を革新する」と語るように、効果はもちろん、これまでのアナログ手法より容易にコンテンツを生成できる手軽さこそが「PIP-Maker」の肝だ。豊富なテンプレートと直感的操作のリテールテクノロジーの登場が、売り場の動画活用を一変させる可能性は十分にあり得る。(BCN・大蔵 大輔)