新しいレジのかたち 「Airレジ」が小売りにウケる理由

特集

2017/03/29 10:30

 従来のPOSレジ専用機に代わり、タブレット端末で会計や売上管理を行う店舗が増えている。さまざまなアプリやサービスが提案されているが、なかでも圧倒的な導入実績を誇るのが、リクルートライフスタイルが提供する、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ「Airレジ」だ。サービスの責任者を務める同社の大宮英紀執行役員に、小売店にとってのAirレジの魅力を尋ねた。


「Airレジ」と、それに連携するレシートプリンタ内蔵キャッシュドロア

 iPad・iPhoneに対応した、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリの「Airレジ」。昨年末時点でアカウント数は約26万7000アカウントと、他のレジアプリを大きく引き離す圧倒的な人気を集めている。リクルートライフスタイルの大宮執行役員によると、現在のところ採用店舗の約半数は飲食店だが、それに続いて導入が大きく広がっているのが、小売店だという。
 

リクルートライフスタイル 大宮英紀執行役員

 ユーザーから特に高く評価されているのが、シンプルでわかりやすい使い勝手の部分だ。iPadやiPhoneを使ったことがある人なら、細かな研修を受けるまでもなく直感的にレジ業務をこなせる。便利なだけでなく、店舗スタッフの入れ替わりが激しい場合、教育コストの削減やミス防止といった経営上の直接的なメリットも得られる。

 また、導入拡大を後押しする一因となっているのが、昨年4月から全国のビックカメラ店内で展開している「Airレジ サービスカウンター」だ。従来のキャッシュレジスターと同じ売り場にAirレジを展示し、iPadがPOSレジとして活用できることをより広い層へ紹介するほか、導入方法の相談受付、対応機器の販売等を行っている。
 

ビックカメラグループ28店舗に「Airレジ サービスカウンター」
(一部は販売員が常駐しないミニサービスカウンター)を展開

 Airレジは軽減税率対策補助金の対象であり、対象店舗であれば実質的にiPad本体は半額、ドロア等の周辺機器は3分の1の価格で導入できる。サービスカウンターでは補助金の代理申請も受け付けており、軽減税率対策が導入の決め手になることも多いという。また、飲食店に比べ小売店では取り扱う商品数が多いため、商品登録などの作業が増えるが、有償の導入作業代行サービスもサービスカウンターでは案内している。このサービスも補助金の対象だ。

分析や決済機能で小売店の業績アップに貢献

 Airレジ導入店舗では単なるレジ代わりではなく、売上分析や在庫管理といったより高度な使い方に発展するケースが多いという。ある老舗の造り酒屋によると「扱いやすさが魅力でAirレジを導入したが、月や曜日ごと、時間ごとに変化する商品別の売り上げを把握・分析できるため、新しい商品作りにも役立っている」といい、売上高の詳細な把握が、経営の“次の一手”につながり始めている。大宮執行役員も「どのお店も1番、2番の人気商品は感覚的に把握していますが、それ以下となると漠然としているケースは多い。それは、データをリアルタイムで見る方法がなかったからです」と指摘し、Airレジという使いやすいツールさえあれば、個人規模の商店でもすぐに自店舗の経営分析に取り組むことが可能と強調する。
 

Airレジの日別売上画面。Airレジ導入により分析の重要性に気付く店舗オーナーも多いという

 リクルートライフスタイルではAirシリーズの店舗向けサービスを拡充しており、主要なクレジットカードや電子マネーに1台のカードリーダーで対応できる決済サービス「Airペイ」などの利用店舗も拡大している。小規模店舗が現金以外の決済に対応するには契約等のハードルが高いが、Airペイはウェブ上からの簡単な申し込みで利用開始可能だ。導入店舗からは集客・売上アップにダイレクトな効果があったとの声が上がっているという。 大宮執行役員は「採用難が続き、店長さんは毎日遅くまで経理作業で家に帰れず、休みも取れない。私たちは『商うを、自由に。』というビジョンのもと、お店の仕事をトータルで支援していきたい」と説明。店舗経営者が事務仕事ではなく、本来力を注ぐべき「自分らしいお店づくり」に集中できるようになることが、Airレジが支持を広げている本当の理由のようだ。

※『BCN RETAIL REVIEW』2017年4月号から転載