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<KeyPerson>ヤマダ電機、「エリア社員制度」の導入を検討、着々と進む人材育成改革

インタビュー

2017/01/27 16:30

 2020年を見据えたヤマダ電機の中期経営計画の柱の一つに、人事制度改革が含まれている。優秀な人材の育成と労務コストの削減の二つが大きな狙いだが、前職のダイクマ時代から総務・人事を取り仕切り、手腕を振るってきた桑野光正代表取締役社長 兼 代表執行役員COOは、この問題にどう取り組むのか。

取材/細田 立圭志、文/ 大蔵 大輔、写真/大星 直輝

・前半<大抜擢の1年>から読む

――既存ビジネスを伸ばすために「人をいかに動かすか」というキーワードがあがっていますが、具体的に売り場ではどのような変化が起きているのですか。

桑野 従来は売り場の商品ジャンルごとに担当を分けて、専門化していましたが、現在はフロアを横断して対応できるように「フリー営業」という考え方を導入しています。専門化した販売員はしっかりした接客ができますが、裏を返せばその販売員がいないと対応できなくなります。例えば、「フリー営業」では夏場はテレビ売り場の担当者を意識的にエアコン売り場に回して教育しています。お客様にとって、要望を満たしてくれる販売員は誰でも構わないわけです。重要なのは、迅速に対応してもらうことですから。また、ある売り場で欠員が出ても他の売り場の販売員がカバーに回れますから、運用効率の点でも理に適っています。
 

人材育成改革の具体例をあげる桑野社長

――売り場を属人化しないということですね。小売業は人の出入りが多く、人材確保が難しいという課題もありますが、この現状を打開するための施策はあるのでしょうか。

桑野 遅ればせながらではありますが、「エリア社員制度」の導入を検討しています。これまでは全国転勤が入社の条件でしたが、人材を確保する上で大きな障壁になっていました。ヤマダ電機ほどの規模になれば、コストの問題もあり、実際に全社員が転勤するわけではありません。それならば、社員の家庭環境に応じて安心して働けるような仕組みづくりを検討しているところです。転勤がないことを就職の条件にする若い人も増えているので、若い人の採用にもメリットがあると考えています。

・<「総労働時間制」とは?>に続く