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<特集>Amazonバイヤーが考えるヘッドホン・イヤホン販売強化のポイント

インタビュー

2016/11/17 11:43

 2015年は、前年に比べ、出荷金額が大きく伸び、今後も伸び続けると予想されるヘッドホン・イヤホン市場で、販売チャネルとしてオンラインの比率が上昇している。「音」が重視されるオーディオ関連機器は、オンライン販売に不向きと思われていたが、商品情報を充実させることで、比較・検討しやすくした。その具体的な工夫について、Amazon.co.jpでヘッドホン・イヤホンを含むオーディオ関連商品を担当する、アマゾンジャパンのハードライン事業部 映像・音響事業部/楽器事業部の吉田有美部長にきいた。


ハードライン事業部 映像・音響事業部/楽器事業部の吉田有美部長

 まず、単刀直入に、ヘッドホン・イヤホンは、オンライン販売に向いていないのではないか、という疑問を問いかけてみた。吉田部長の答えは「No」だ。理由は、オンラインだからこそできる強みがあるから。「実際に手に取り、視聴した場合と同じような情報を顧客に提供できるよう努めている。商品詳細ページを充実させることで、顧客が本当に欲しい商品を探す/知るサポートにつながっている」と語る。

 一例として、全国の家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で、2016年10月のBluetoothヘッドホンの販売台数ランキングで1位を獲得したボースのノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort 35 wireless headphones」を取り上げ、具体的な施策を教えてもらった。
 

ボースのノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort 35 wireless headphones」の商品詳細ページ

 おなじみの商品詳細ページだが、商品画像をはじめ、購入を検討するための材料を凝縮している。一番の工夫のポイントは、商品画像。「画像はなるべく高解像度のものを用意し、見た目だけでなく質感や各パーツの細部まで伝えられるようにしている。別アングルの画像やイメージ動画も一覧に揃えている」(吉田部長)。
 

画像だけで質感や細部がわかるように、より高解像度の画像を用意。使い方がわかるイメージ動画も掲載する

 商品情報も充実させ、メーカー公式のものだけでなく、外部のレビューも取り上げている。Amazon独自の情報として、顧客からのカスタマーレビューもある。ネガティブなコメントを含め、使用者の生の声は、購入を検討する顧客にとって最も参考になる情報だ。
 

購入検討の際に役立つカスタマーレビュー。件数が多いほど、情報精度と信頼性は高くなる

 いずれも、すでに多くのオンラインショップで取り入れられている要素だが、ブラッシュアップを積み重ね、情報量を増やしてきた。たとえ試聴できなくとも、これらの情報だけで、十分に購入を検討してもらえると自信をもつ。

 吉田部長は、「Amazonの使命は、潤沢な品揃えを用意すること」といい、「どこで購入するかはお客様次第。オンラインで情報を集めて店舗で購入する人がいてもいいし、店舗で試聴してオンラインで購入する人がいてもいい」と語る。まずは、その商品に対する興味・関心を高めることが狙いだ。

 ヘッドホン・イヤホンの販売強化には、価格や在庫、キャンペーンの状況などに応じて、オンライン店舗とリアル店舗を自在に使い分ける顧客の目にも留まる、複合的な購買判断材料の提供が必要だろう。(BCN・大蔵 大輔)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。