タイガー魔法瓶、「飲み込みやすいごはん」の炊飯器開発へ

新製品

2017/11/09 18:00

 タイガー魔法瓶は11月7日、産官学一体で健康ソリューションに取り組む新成長戦略の発表会のなかで、高齢者ののどを通りやすく飲み込みやすいごはんが炊ける炊飯器を開発中だと明らかにした。2018年度中旬に発売する予定。


タイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長と新イメージキャラクターの佐々木希さん

 タイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長は「メーカーとしてモノづくりのなかで健康社会をキーワードに貢献していきたい。調理家電を通して美容、健康に配慮したおいしい食のソリューションを提案していく」と、新成長戦略の方針について語った。

 具体的には、タイガーが得意とする「真空断熱技術」と「高精度熱コントール技術」「安心・安全設計」の3つで培ってきた独自技術を軸にした健康ソリューションの分野で、既存の調理家電や魔法瓶の分野では高付加価値化の追求、新市場としての海外や産業・業務用への進出を目指していく。

 「加齢に伴う衰えやアレルギー体質、健康や美容のためにおいしい食事をガマンせざるを得ない方々がいるが、ガマンする食事はわれわれの理念に反する。おいしい食事をガマンすることから解放したい」と菊池社長は意気込む。

 健康ソリューション関連の製品による売上高は2018年度で108億円。これを23年度には200億円に倍増する計画だ。

 まずは、高齢者が飲み込みやすいごはんの炊飯技術を搭載した製品を投入するほか、既存の「麦めし」コースを搭載した炊飯器や無添加グルテンフリーの米粉100%食パンがつくれるIHホームベーカーリーからスタートして、対象製品を順次拡大していく。
 

健康ソリューション分野で2023年度、200億円が目標

新開発の「可変おねば回収プレート」

 高齢になるにつれて食べるための筋力が衰えて、食べ物が飲み込みにくくなる。そのため白米に多くの水分を含んだ軟飯やおかゆを食べるが、おいしくなかったり、必要な栄養量が確保しにくいという課題があった。

 そこで、飲み込みやすく、食べやすいごはんが炊ける特許申請中の新技術「可変おねば回収プレート」を、兵庫県立大学と共同で開発した。
 

新技術「可変おねば回収プレート」

 ごはんが飲み込みにくくなる原因を、炊飯の工程で発生するうまみ成分の「おねば」のべたつきや粘りにあるとし、炊飯しながら「おねば」を回収するプレートを開発した。

 ただ、「おねば」をすべて回収するとうまみが損なわれるため「すべて取り除くとかえって、口の中でごはんがボロボロに崩れるので、ほどよく取り除くところにポイントがある」と同大学環境人間学部の坂本薫教授は指摘する。

 さらっとごはんは、全かゆや五分かゆよりも100gあたりのエネルギーも飯椀一杯あたりのエネルギーも多く、介護施設やグループホームでの試食の感想でも「飲み込みやすく、おいしいと感じた」や「粘りが少なく、口どけがよい」などと好評だったという。

 まずは介護施設など業務用から投入した後に、コンシューマ向け炊飯器にも機能を搭載していく予定だ。