ワイヤレスリア接続で5.1chを実現! すっきり置けるソニー「BDV-N1WL」

レビュー

2013/09/30 20:12

 プライベートの話になるが、この9月に新居を構えた。念願のマイホームを手に入れた暁には、天然木一枚板のテーブルやアンティークの棚、名デザイナーの椅子など、あれもこれもと夢は膨らんでいたのだが、現実の前に、その多くは潰えた。しかし、どうしてもほしいものがある。それが5.1chホームシアターシステムだ。

 最有力候補は、8月末発売のソニーの5.1chホームシアターシステム「BDV-N1WL」。6万円という手頃な価格と、ワイヤレスリアスピーカーの採用でスピーカーの置き場所が比較的自由という点に強くひかれている。そこで、「BDV-N1WL」を借り、新居でサウンドを体験することにした。
 

夢が広がる5.1chホームシアターシステム「BDV-N1WL」
 

CD音源をマルチチャンネルで再生



 ホームシアターシステムというとテレビの音をよりリッチにするアイテムだが、ソニーの「BDV-N1WL」は、テレビ以外の音をより高音質で楽しめるようさまざまなメディアの再生や機器との連携に対応している。
 

デジタル&家電ライター・コヤマタカヒロ。
念願のマイホームを手に入れ、次はホームシアターを狙う

 例えば、自宅には過去に購入した大量の音楽CDがあるが、リビングには残念ながらPC以外の再生環境がなかった。しかし、そこに置いた「BDV-N1WL」は、通常の音楽CDだけでなく、高音質の音源を記録したスーパーオーディオCD(SA-CD)の再生にも対応。ディスクに記録された5.1chサラウンドで再生することができ、ライブ演奏のような臨場感あふれる音場を楽しむことができた。
 

SA-CDの「2ch音源」と「マルチチャンネル音源」、どちらの再生にも対応

 音楽CDだけではなく、BD(ブルーレイディスク)/DVDの再生に対応し、2chのステレオの音源も5.1chサラウンドとして再生することができる。さらにFMラジオが楽しめて、USB端子にUSBメモリをつなげば、保存したデジタル音楽ファイルや動画ファイルの再生ができる。あらゆるコンテンツを高音質で楽しむ救世主になってくれそうだ。
 

USBメモリに保存した音楽も楽しむことができる
 

Bluetooth対応スマートフォンやホームネットワークとワイヤレスで接続



 Bluetooth接続とNFC(近距離無線通信)にも対応している。NFC対応のスマートフォンをタッチするだけで簡単にペアリングして、スマートフォンに保存した音楽を再生することができる。
 

本体のNFCマークにスマートフォンをかざして接続する

 さらに、ネットワーク機能も充実している。DLNAガイドラインに対応し、ホームネットワーク経由でPCへアクセスすることができる。ネットワーク対応HDDのnasneに録画したテレビ番組の再生にも対応する。このほか、インターネット接続機能で、YouTubeや、さまざまなドラマ・映画が定額料金で楽しめるhuluにも接続できる。

5.1chシアターシステム導入への壁「配線問題」を解消



 一般的な5.1chホームシアターシステムは、テレビ周辺からリアスピーカーを置く部屋の反対側までケーブルをもっていく必要がある。ケーブルを天井などに固定できれば床はすっきりするのだが、賃貸住宅では、これがなかなか難しかった。

 その点、「BDV-N1WL」はリア用アンプとフロント用アンプをワイヤレスで接続できるので、テレビからその反対側まで長いケーブルをはわせる必要がない。あとは、リア用アンプを電源につなぎ、左右のリアスピーカーをケーブルで接続するだけ。これなら部屋中がケーブルだらけになることはない。
 

前後のアンプがワイヤレスでつながる(イメージ図)
 

設置場所を大きく広げる「スピーカーリロケーション」



 「BDV-N1WL」は、リアスピーカーの設置問題も解決してくれた。ホームシアターシステムのスピーカーは、まずテレビを視聴する場所を決めて、そこを中心に最適な音空間になるように配置する。スピーカーの設置場所を優先した完全なシアタールームならまだしも、リビングルームの場合は、背後に置くリアスピーカーは棚やテーブルセットなどに邪魔されて最適な場所に置けない、といったことが珍しくない。

 しかし、「BDV-N1WL」は、スピーカーを最適な場所に置けなくても、スピーカーを設置した場所から最適な音空間になるよう音場を補正する「スピーカーリロケーション」を備えている。5つのスピーカーそれぞれが、視聴位置から最適な音源位置にスピーカーを置いた場合と同じように響くように音を自動で調整する。
 

最適なスピーカー設置位置にスピーカーを置けなくても、「スピーカーリロケーション」が音源位置を最適化する。右は上から見たリロケーションの様子(イメージ図)

 さっそく、「BDV-N1WL」をリビングに設置した。本体となるディスク/チューナー部をテレビの近くに置き、センタースピーカーや左右のフロントスピーカーを配置する。サブウーファーも接続していく。最新のARC(Audio Return Channel)対応テレビなら、HDMIケーブル一本でOK。昔のように光ケーブルなど複数のケーブルを接続することなく、テレビや他の機器のサウンドが出力できた。

 同様にリア用アンプとリアスピーカーを接続していく。「BDV-N1WL」のフロントスピーカー、リアスピーカーは重さわずか1.1kgと軽く、スタンドを取りつけて床置きするだけでなく、100円ショップで購入できるフックなどに引っかけて簡単に壁かけができた。
 

それぞれのスピーカーの背面には壁掛け用の穴がある

 次に音場の設定をする。「BDV-N1WL」は、独自の自動音場補正技術「D.C.A.C.」にスピーカーリロケーション機能を追加した「D.C.A.C.DX」を搭載している。セッティング時に視聴場所にマイクを置いて測定すると、各スピーカーの位置や向きを捕捉し、仮想的にスピーカーの位置を移動してくれるのだ。リアスピーカーの位置がずれていても、最適な音空間を自動的につくってくれる。スピーカーの位置を優先できないリビングシアターに最適な機能なのだ。
 

付属マイクで音を拾ってスピーカーの音源を理想の位置に

 音の魅力はサラウンド機能ばかりではない。フロント、リア各2 本、センターのスピーカーには、薄型ながらしっかりとした音量をクリアに響かせる「磁性流体スピーカーユニット」を採用。一般的な小型スピーカーとは思えないしっかりとした音圧を体感できる。
 

磁性流体スピーカー


迫力満点! スタジアムそのものの臨場感が味わえる「サッカーモード」



 準備が整ったので、いくつかの映画コンテンツとテレビ番組で5.1chサラウンドを体感してみた。その結果、テレビ内蔵スピーカーとは比べようがないほど、次元の高いサウンド空間を体感できたのは当然だが、音の動きや指向性がはっきりしており、背後から迫る音はしっかりと背後から聞こえるなど、その臨場感に驚かされた。

 サッカースタジアムの臨場感を自宅で再現できる「サッカーモード」は、特に面白かった。テレビ中継では必ずある解説やナレーションをカットして、スタジアムで観戦しているような没入感を体感することができた。来年のワールドカップに向けてサッカーファンには手放せなくなる「おうちパブリックビューイング」機能だ。
 

「サッカーモード」を使えば、スタジアムさながらの臨場感を味わうことができる

 また、高音質で伸びのあるボーカルを再現する「磁性流体スピーカー」からは、一つひとつの音が明瞭に、テレビのスピーカーでは聞き取れなかった音も聞こえてくる。サブウーファーがH主役の爆発シーンや低音はさすがの迫力。響きのいい低音が体感できた。
 

5.1chサラウンド環境を手軽に設置できるのが最大の魅力!



 ホームシアターシステムには、テレビの前に設置するバータイプから本格的な7.1chのセパレートタイプまで、さまざまなモデルがある。「BDV-N1WL」は低価格で、より簡単にリアル5.1chホームシアターシステムが構築できる。設置はバータイプよりやや手がかかるかもしれないが、物理的にリアスピーカーを設置しているので、背後から音が聞こえるサラウンド性は明らかに高かった。また、サラウンドサウンドが体感できるスイートスポットも広い印象だ。

 さらに、リビングルームに設置することを考えると、「BDV-N1WL」には大きな利点がある。それはボディカラーがホワイトだということだ。シアターシステムには黒いきょう体をもつモデルが多いが、外光が入る明るいリビングでは、存在感が強すぎる。さらに4本のスピーカーとフロントアンプにイルミネーション機能を搭載。リモコンでオンとオフの操作できて、リビング空間を幻想的な光で演出することができる。
 

ソニーのホームシアターシステム「BDV-N1WL」(実勢価格6万円前後)
 

スピーカーにLEDイルミネーションを搭載

 「BDV-N1WL」は、白い壁紙の前で目立ちすぎることがなく、部屋のなかに自然に溶け込んでいた。仕事で大きなスピーカーをリビングに置くと苦い顔をしていた妻も、「これなら目立ちすぎなくていいね」と理解してくれた。この様子なら、購入の相談をしても色よい返事が返ってくるだろう。(デジタル&家電ライター/コヤマタカヒロ)