平昌五輪効果でレコーダーは販売増、今後のスポーツイベントにも期待

アナリストPOSデータ分析

2018/03/17 12:05

 冬期五輪で、日本のメダル獲得数が過去最多となった平昌五輪。現在開催中の平昌パラリンピックも含め、多くの感動をもたらした。これが追い風となって、テレビ番組を録画するBD・DVDレコーダーの販売台数が伸びたことが、家電量販店ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から分かった。ここでは1週間ごとに直近の販売動向を追ってみた。


 まずレコーダー全体における、販売台数伸び率(前年同週比)を見ていこう(図1)。昨年末まで、前年を下回る週が多く見受けられるが、1/1週(1月1日に始まる週、以下同)以降はほとんどの週で伸び率がプラスとなっている。

 最も高い伸び率となっているのは1/1週で、前年比137.4%。大幅な伸びとなったのは、前年と日数が1日ずれているため、元日の販売台数分が上乗せされていることが大きく影響している。それに加え、年始から見かける機会が増えた平昌五輪を始めとした、今年行われるスポーツイベントを見込んだ販売促進策も功を奏したと考えられる。

 五輪開幕の前週にあたる、1/29週は103.6%と伸びは弱まっていたものの、2/5週は116.1%となり、開催期間中の2/5週から2/19週は勢いを取り戻す。この3週間の伸び率は113.3%と2ケタ増となった。五輪とパラリンピックの中断期間にあたる、2/26週は前年を下回っていることからも、五輪がレコーダー市場に与える影響度が分かるだろう。
 

 ただし、テレビ番組のジャンルごとにみると、スポーツを録画している比率はあまり高くないようだ(図2)。BCNが昨年3月に実施したアンケート調査によると、テレビを週1回以上録画する人のうち、「リアルタイムで見る」人はニュース・報道、バラエティに次いで、スポーツが3番目だが、「録画して見る」人は、ドラマ(日本)が64.9%でトップなのに対し、15.9%と上から10番目となっている。感動の瞬間を映像に残しておきたいというニーズがある一方で、いつでも情報を入手できる現代では、リアルタイムで見ることに価値があるという人も多いことが窺える。

 平昌五輪・パラリンピックを皮切りに、今後は大きなスポーツイベントが続く。今年の夏にはロシアでサッカーワールドカップが開催され、来年は日本でラグビーワールドカップ、2020年には東京五輪・パラリンピックが控えている。今回同様、録画需要により、レコーダーの販売台数は伸びることが予想できるが、上記のアンケート結果を踏まえると、スポーツを録画する人はさほど多くはない。今後のスポーツイベントで、「録画してでも競技を見たい」という人がさらに増えていけば、より販売台数を伸ばすきっかけになるだろう。(BCNアナリスト 山口渉)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。