SIMフリー効果で好調続くスマホ市場、今売れているメーカー・製品とは

アナリストPOSデータ分析

2017/07/28 14:40

 今年に入り、スマートフォン(スマホ)市場が活況を呈している。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」によると、2月以降は毎月、販売台数の伸び率(前年同月比)が2ケタ増となっている。特に、SIMカードを自由に差し替え可能な、SIMフリー端末の販売台数は右肩上がりだ。好調が続くスマホ市場を大きく後押ししている。そこで今回は、消費者の注目度も高まるSIMフリー端末について、今のトレンドを追った。


 まず、過去2年間のスマホの販売状況を見ていこう(図1)。大手キャリアが行うキャンペーンなどの影響で、販売台数が1つの月に集中する特性があるため、販売台数の伸び率は、2017年1月まで増減を繰り返し、不安定に推移していた。しかし、2月以降は5か月連続でプラスを維持する状況が続いている。スマホ市場におけるSIMフリー端末の販売比率をみると、プラス推移が続く17年4月から6月は2割以上をキープ。6月は過去最大比率の24.4%を記録し、SIMフリー端末が市場の盛り上がりに貢献するようになったことを示している。
 

 では、市場に与える影響度が増しているSIMフリー端末のなかで、売れているメーカー・製品は何か。17年6月の販売台数シェア上位5メーカーに限定すると、Huawei Technologiesが直近の6か月はトップで、この6月は37.6%(図2)。23.2%のASUSとは14ポイント以上の差をつけている。Huaweiの強さをみると、6月に発売した「P10 lite」の売れ行きは立ち上げ直後から好調で、一世代前の「P9 lite」もいまだ人気を集めている。どちらもコストパフォーマンスの高さが評価されており、6月はこの2機種がSIMフリー端末の販売台数で1位と2位になった。

 また、6月はシャープのシェアが2ケタ台まで伸びている点にも注目したい。UQ mobileで販売を開始した「AQUOS L2」が、好調な売れ行きとなっていることが大きい。シャープに限らず、15年5月に「SIMロック解除の義務化」が施行された関係で、国内メーカーが揃ってSIMフリー端末に注力し始めている点も、最近の傾向となっている。7月にはASUSの「ZenFone Live」、8月にトーンモバイルが富士通の「TONE m17」の展開を予定するなど、毎月のようにSIMフリー端末の新製品発売が続く。引き続き、SIMフリー端末の需要は拡大していくと考えられ、製品の選択肢が増えれば、さらなるスマホ市場の活性化にも期待が持てる。(BCN アナリスト 山口渉)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。