SSD市場の成長を阻害するGB単価の上昇

アナリストPOSデータ分析

2017/07/03 11:30

 省電力や静音、軽量が売りのSSDは、HDDからの切り替えが進みつつある。当初は高価であったことが普及を阻害する要因となっていたが、徐々に手の届きやすい価格となってきたためだ。しかし、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」をもとにSSD市場の動向を分析したところ、ここ数か月は販売が鈍化している上、大容量化が足踏みしていることが分かった。


 SSD市場は17年に入ってから平均単価が急速に上昇し、これが影響してか売れ行きは悪化、販売台数は前年割れに転じている。そこで、GB単価を算出してみると、販売数量と密接にリンクしていることが分かった(図1)。14年5月時点で63.9円だったGB単価は、2年半後の16年12月に30.3円と半値以下にまで下落した。このGB単価の下落を背景に14年5月を「1.00」とする販売数量指数は「2.37」(16年12月)と市場規模は倍以上に成長、過去3年で最も高い水準を記録した。しかし、17年に入ると、わずか5か月でGB単価は約10円上昇、17年5月の数量指数は「1.17」と、市場は急激に縮小している。
 

 このGB単価の上昇は、これまで進んでいた大容量化にも追い風となっていた。14年時点でのメインとなる容量帯は「200GB未満」から「2-400GB未満」へ徐々にシフトしていた(図2)。その後も「2-400GB未満」の比率は順調に増加。16年の後半からは「4-600GB未満」が3割を超え始め、メインの容量帯へと切り替わる様相を呈していた。しかし、GB単価の上昇をきっかけとして、大容量化は止まり、再び「2-400GB未満」や「200GB未満」の数量比率が増え、逆行していることが明らかになった。

 GB単価の上昇要因は、為替変動やスマートフォンの生産増によるメモリ不足などが挙げられる。今回はSSD市場を例に取り上げ、GB単価の上昇が市場の縮小や大容量化の阻害に繋がっていることを見たが、これと同様のことがパソコン用のメインメモリやメモリカード、USBメモリなどでも発生しており、それぞれの市場で同様の状況が起こっている。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。