混戦続くLCD市場、大画面化すすみ24インチ以上が半数に迫る勢い

アナリストPOSデータ分析

2017/01/26 09:44

 液晶ディスプレイ(LCD)の好調な売れ行きが続いている。2016年は12か月連続で販売台数伸び率(前年同月比)が2ケタ増で推移、画面サイズの大型化が目立つ動きとなった。24インチ以上を「大画面LCD」と定義すれば、台数比率は5割目前で、平均画面サイズでも25インチに達する勢いだ。この「大画面LCD」に限定してみると、BenQジャパンの独走が続くとはいえ、LGエレクトロニクスなどの追い上げで勢力図は徐々に変化しつつある。


 家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」をもとにして、LCDの画面サイズ帯ごとに台数比率をチャート化したところ、「23-24インチ未満」の比率は2割台後半で推移、メインのサイズ帯であることが分かる(図1)。しかし、16年8月以降「27-30インチ未満」の比率が増大しており、大画面化が進行していることを示している。また、平均画面サイズからもその動きは顕著だ。16年4月以降は23インチ中盤だった平均値は、11月に24.0インチ、12月には24.7インチと急速に大画面化が進んでいる。16年12月時点の24インチ以上の比率は、48.3%とほぼ半数を占めており、今後も拡大していく見通しだ。
 

 24インチ以上の「大画面LCD」に限定してメーカー別シェアを算出したところ、BenQジャパンが市場をけん引していることが分かる(図2)。しかし、月を追うごとに勢いは減速し、15年12月時点で39.6%だったシェアは、1年後には27.6%に後退した。代わりに躍進してきたのはLGエレクトロニクス、日本エイサー、マウスコンピューターで、2位争いが激しさを増している。なかでもLGエレクトロニクスのシェアは、9.4%(15年12月)から18.1%(16年12月)へと一年で9ポイント近くも上積み、BenQジャパンを追い上げる一番手となった。躍進の要因は値下げ幅が大きいためで、今後も価格対応を継続するようであれば、BenQジャパンとの首位争いは激化する可能性もある。

 液晶テレビでは、大画面化とともに4K対応が進んだが、LCDでの4K対応比率は、ようやく10%を超えた程度で、本格化するにはまだ時間がかかる見込み。ただ、ここにきてデジタルカメラなど撮影用機器で4K対応製品のラインアップが拡充しており、これを受けて、撮影した画像を編集・加工するニーズが高まるようであれば、4K対応の普及には追い風となるだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。