インクジェットプリンター市場、規模縮小するも単価は高騰

アナリストPOSデータ分析

2021/11/26 17:30

 2019年と20年はイレギュラーな需要により、インクジェットプリンター市場は拡大した。反動で21年の市場規模は縮小しているものの、平均単価は2年前の倍近くまで高騰していることが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかとなった。


 直近3年のインクジェットプリンター市場を2019年1月1週(18/12/31-19/1/6)の販売台数を「100.0」として指数化すると、例年10月から年始にかけて需要が高まっていることが分かる。19年は10月の消費増税前の駆け込み需要によって、9月4週(19/9/23-9/29)に80.8に達し、10月に入ると反動減による落ち込みはあったが、年末商戦に向け指数は急速に回復した。20年は4月1週(20/3/30-4/5)まで前年と同様の動向だったが、コロナの感染拡大による在宅勤務やリモート授業の普及・拡大により、インクジェットプリンターの需要が増えて前年を上回ったものの、年末は19年の水準には及ばなかった。消費増税やコロナ禍といった特需で需要が先食され、21年はほぼ前年を下回って推移。11月3週(21/11/15-11/21)の指数は57.8にとどまり、市場規模は縮小している。

 同期間の平均単価を算出したところ、この3年で単価は高騰していることが明らかとなった。
 

 19年の平均単価は一年を通して1万5000円前後で推移していた。しかし、20年の5月以降、平均単価は徐々に上がり始め、6月3週(20/6/15-6/21)には一時的に2万円を超えた。その後2万円を下回る水準にまで落ち着いたが、21年3月4週(21/3/22-3/28)以降は恒常的に2万円を超えて推移、11月2週(21/11/8-11/14)には直近3年で最も高い2万4100円に達した。19年の最安値だった1月1週と比較すると、この3年で2倍近くまで値上がりしていることが分かった。

 インクカートリッジが従来よりも大容量になったり、インクボトルを利用して補充するタイプの製品を主要各社が発売していることも、インクジェットプリンターの平均単価上昇につながっているのかもしれない。懐は痛むが環境に配慮した製品を発売するメーカーの取り組みを評価すべきだろう。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。


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