年末商戦始まる前のインクジェットプリンタ市場

アナリストPOSデータ分析

2020/11/01 11:30

 例年11月から年末にかけて販売台数が増加するインクジェットプリンタ(IJP)市場だが、2019年は消費増税前の駆け込み特需、20年年初にはWindows 7 サポート終了(EOS)によるパソコンの買い替えに伴う特需といったイレギュラーな需要で、異なる動向をみせた。18年1月1日-7日の販売台数を「100.0」とした指数を算出し、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」でIJP市場をみていく。


 IJP市場では、毎年11月と12月の2カ月の販売が一年間の販売台数の3割近くを占める。週次の販売台数指数をみると、18年、19年とも11月以降の台数指数は急速に立ち上がっている(図1)。19年は消費増税前の駆け込み特需により、9月4週に81.0を記録したが、その2週後の10月2週には32.5まで落ち込む反動減もあった。20年では、1月14日(1月3週)のWindows 7 EOSを控え、1月1週は107.3と好調なスタートを切ったものの、2-3月にかけて18年、19年の水準を下回る反動減に陥った。その後、4月2週から5月4週にかけて例年とは明らかに異なる動きをし始め、4月3週の台数指数は58.2に達した。これは在宅勤務による資料やリモート授業による課題を印刷する、家庭内でのプリント需要の増加が影響していると考えられる。

 年初から10月4週までの累計では18年、19年の販売台数を辛うじて上回っているが、既に需要を先取りしているため、年末商戦での立ち上がりは鈍化する可能性が高い。また、8月に日本郵政が発表した年賀はがきの当初発行枚数は、19億4,198万枚と前年比で約2割減としていることからもわかるように、年賀状を出す人が減少することも予想され、IJP市場も厳しい状況だ。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。



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  • ・インクジェットプリンタ 販売台数指数推移
  • ・インクジェットプリンタ メーカー別販売台数シェア推移
  • ・インクジェットプリンタ 機種別ランキング

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