2019年3月のスマートフォンの販売台数は過去最高となったことが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。しかし今後、通信料金と端末代金の完全分離義務化や消費増税が控えており、市場は縮小へと転じる可能性もある。


 08年7月に日本で「iPhone 3G」の販売がスタート。その2年後の10年には「Xperia」や「Galaxy S」の発売で、日本でもスマートフォン市場が立ち上がった。その時点から9年が経過した19年3月、スマートフォンの月間販売台数はそれまでの最高となった。この16年3月の販売台数を「1.00」とし、直近3年の指数を算出したところ、17年3月は「1.27」、18年3月は「1.39」、19年3月は「1.65」と右肩上がりで推移、3年間で市場規模は1.5倍以上に膨らんだことになる(図1上)。また、直近の2年間の伸び率(前年同月比)をみても、前年実積を割り込んだのは17年10月(92.1%)、18年11月(86.7%)、19年2月(98.6%)の3カ月のみ。これらの数値から、スマートフォン市場は現在も拡大していることが裏付けられる(図1下)。

 しかし、こうした好調な荷動きに水を差しかねない新たな動きが、この先、待ち受けている。
 

 その動きとは、19年3月5日に電気通信事業法の改正案が閣議決定されたことにかかわる。改正案の中に「モバイル市場の競争の促進」として、通信料金と端末代金の完全分離が含まれ、今後、端末代金が明確になることで、これを高いと感じる消費者が買い控える可能性があるためだ。携帯電話(ガラケー)が中心であった07年当時、「インセンティブ(報奨金・奨励金)制度の廃止」が総務省主導で実施され、この結果、端末価格が高騰し携帯電話市場は2年で約6割の規模にまで縮小した。今回の動きは、この時を彷彿せるものとなっている(図2)。
 

 また、19年10月には消費増税が控えている。14年4月の増税時には、前月に駆け込み需要が発生した。当時はスマートフォンの需要が旺盛であったことも手伝い、反動減は一時的なものにとどまった。しかし、その回復途上の16年4月には、またも総務省による「実質0円販売」禁止により、買い替え需要が鈍化した(図3)。

 確かに、大手キャリアの料金体系は消費者には難解ため、分かりやすい料金体系の整備は必要だ。しかし、官の介入により消費が冷え込んだ過去の例をみると、料金の完全分離と消費増税がスマートフォン市場に与える影響は小さいものでは済まないだろう。待ち受ける試練にどう耐えるのか、業界にとっての試金石となりそうだ。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。