ワイヤレスイヤホン市場の拡大が止まらない。市場をタイプ別に分けると、「カナル型」「完全ワイヤレス型」「クリップ型」などとなる。このなかで販売増が続いているのがイヤーピースを耳栓のように耳穴に押し込むカナル型で、左右のハウジング部分がケーブルで繋がっているタイプの製品だ。需要が高まるワイヤレスイヤホン市場全体の動向と、その中核を占めるカナル型の現状を分析した。


 まず、イヤホン全体に占めるワイヤレスイヤホンの販売数量と販売金額の構成比を算出した(図1)。2016年6月ではわすが16.6%であったワイヤレスの数量比率は、2年後の18年6月には40.3%まで増大。金額比率も、26.8%から70.1%に急拡大している。イヤホン市場の主流はすでにワイヤレスへとシフトしていることを示している。
 

 次にワイヤレスのタイプ別数量比率みると、この2年で大きく傾向が変化していることが分かる(図2)。16年夏までは約3分の2をクリップ型が占有。その多くが片耳のみの製品で、主に通話をメイン用途として利用する製品が主流となっていた。その後は徐々に、カナル型と完全ワイヤレス型の売れ行きが高まり、いずれも2年前に比べて構成比は20ポイント以上も上昇した。とくにカナル型は、18年に入ってからワイヤレスのなかで5割を占めて主役の座に躍り出たことになる。

 カナル型と完全ワイヤレス型が躍進するようになった要因は、①スマートフォンで音楽鑑賞する人が増えていること、②国内で約半数を占めるiPhoneシリーズで、7/7 Plus(16年9月発売)以降はイヤホンジャックの廃止――をあげることができる。いずれも両耳に装着するタイプの製品がほとんどで、スマートフォンで音楽を鑑賞するために購入しているユーザーが多いといえるだろう。
 

 主役の座についたカナル型は成長ジャンルだけに競合は激しく、シェア争いが激化していることが分かる(図3)。2年前はエレコムとソニーでトップを争ったが、16年後半からはエレコムが豊富なラインアップと手頃な価格帯を強みに独走状態が続いた。しかし、17年9月のiPhone8/8 Plus発売を機に、各社ともカナル型に注力し、製品数が急増。ここ数か月は、数量シェア10%前後で6社がひしめく、混沌とした状況にある。

 もう一つ、ワイヤレスの躍進で目につくのは平均単価の急激な上昇だ。2年前には4000円台であった単価が、いまは8000円台。単なるワイヤレスにプラスして、音質やデザイン、防水など、さまざまなニーズを取り込んだことが、単価の倍増につながっている。主導権を確保するためにも、新たな付加価値の取り込みが求められるのは必至だろう。(BCNアナリスト 山口渉)


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