2017年7月28日のiPod nano、shuffle販売終了からおよそ一年が経過し、携帯オーディオ(DAP)市場は縮小の一途をたどっていることが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計するBCNランキングから分かった。DAP市場の機能や付加価値などが変化しているわけではなく、音楽の視聴形態がDAPからスマートフォンへと移行。DAPの存在が限定的になってきたことを示している。さらに追い撃ちをかけているのが、「音楽」の聴き方や価値の変容も、市場に影響を与えているようだ。


 2015年6月の販売台数を「100.0」とした、DAPの台数指数の推移をみると、3年の長いスパンでは大きく縮小、とくに18年4月から6月にかけては基点の半分近い規模にまで縮小している(図1)。DAPは年末年始に需要が伸びる季節商品の一つだが、需要のピークを示す「山」が年々縮小していることも一目瞭然だ。こうした需要の後退は、市場をリードしてきた主力商品であるiPod nano、shuffleの販売終了で、アップルの販売分が大きく落ち込んだだけとはいえない。アップルとライバル関係にあったソニーも販売減に転じており、市場そのものが衰退期にあることを示している。
 

 DAP市場では、ヘッドホンなどに先駆けてハイレゾ対応製品が登場したが、全体に占めるハイレゾ対応比率は3割目前で足踏み状態が続いている(図2)。ハイレゾに対応していないiPodシリーズの相次ぐ販売終了によって、ハイレゾ対応比率は増加していくのは当然の流れとなるが、目立った動きは出ていない。ハイレゾ対応は一部のマニア層に受けるニッチな市場になっていく可能性も高いといえそうだ。

 DAP市場に活気がないことは上記の通りだが、「音楽」そのものの立ち位置が変わりつつあることも影響しているだろう。まず、「音楽」の聴き方に関してみていくと、CDなどのメディアから配信サービスへとシフトし、販売形態が大きく変化している。その上、その配信サービスでは購入した曲を聴くのではなく、定額制の聞き放題サービスへと移行しつつある。「音楽」を聴くためのデバイス、メディアの変化だけでなく、視聴形態の変容もDAP市場には逆風となっている。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。