コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)市場は約3年半にわたって縮小が続いている。これは、スマートフォンに搭載されるカメラの性能や機能が格段に進化したことが大きい。この影響でコンデジ市場は後退が続いたが、この8月は販売金額伸び率(前年同月比)がプラスに転じたことが、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から分かった。9月には販売台数も前年並みに回復し、市場は底を打ちつつある。ここでは、過去3年間の販売動向と、回復の原動力となった「4K動画対応」に触れることにする。

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 まず、コンデジ市場全体の販売台数および販売金額について、それぞれ14年9月の実績を「1.00」とした指数を算出した(図1、2)。ここから分かる通り、月を追うごとに指数は前年を大きく下回り、市場の縮小が読み取れる。特に販売台数は、16年9月が「0.51」と、2年前の約半分にまで縮小しているのだ。

 ただし、今年に入ると下げ幅が徐々に弱まり、この9月の販売台数指数は前年並みに踏みとどまった。後退に歯止めをかけたのは、高級コンデジへシフト。これによって平均単価は3年間で約5000円も上昇し、ここ2か月の販売金額指数は連続して前年を上回っている。
 
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 回復をもたらしつつある背景には、最近、売れ行きが拡大してきた「4K動画対応」コンデジがある。コンデジ市場全体のうち、2年前は1%にも満たなかった4K動画対応の販売台数構成比だが、17年9月には15.6%を占めるまでに拡大しており、市場の回復に大きく寄与していることが分かる(図3上)。

 4K動画対応コンデジを展開するメーカーのシェアをみると、この1年はニコンがけん引している。16年10月に「COOLPIX A900」と「COOLPIX B700」を発売して以降、ニコンがほぼ毎月5割以上のシェアを獲得し、競合他社をリードしている状況だ。ただ、各社とも同等性能を持つ製品で追随し、にわかに競合が強まりつつある(図3下)。例えば、リコーイメージングは360度撮影にも対応の「THETA V」を9月に発売し、早々にシェアを1割以上確保するなどの動きが現われている。

 従来は画素数やズーム倍率の向上など、写真を撮るための性能がポイントとされてきたが、今ではスマートフォンとの差異化が焦点となる。このため、消費者の潜在意識をくすぐる新たな訴求点が必要となろう。数値上、底を打ちつつある市場をより実感を伴うかたちへと押し上げるためにも、「4K動画対応」に次ぐ新たな価値創造が求められる。(BCNアナリスト 山口渉)


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。