DVC市場で躍進するGoPro、この夏主役となるか

アナリストPOSデータ分析

2017/07/07 12:00

 昨年末まで不振が続いていたデジタルビデオカメラ(DVC)市場。しかし、2017年の年明け以降は回復し、この6月の販売台数は前年同月比で3割近く伸びていることが、家電量販店ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」から分かった。回復に大きく寄与しているのが、DVCの一角を担うアクションカメラGoProだ。ここでは、DVC市場を俯瞰したうえで、GoProの売れ行きに触れることとする。


 16年12月以前のDVC市場全体は、ほとんどの月で前年実績を下回り、2ケタ減と停滞する月が多かった(図1上)。しかし、年が明けると売れ行きは好転し、販売台数は6か月連続で前年を上回り、6月の伸び率は128.0%となった。上位メーカーのシェアをみると、GoProは2割前後を維持するようになり、6月は29.5%を占めた(図1下)。ここ1~2年、1割以下だったシェアを約3割にまで押し上げたGoProが、DVC市場の回復に寄与したことを示している。6月のシェア分布が示すように、パナソニックソニーの2社に割って入るほどの影響力を持っているのだ。

 このGoProの主力モデルが、16年10月に発売した「GoPro HERO 5 Black」だ。旧製品の「HERO 4」から、タッチディスプレイや手ぶれ補正、音声コントロールなど、さまざまな新機能が追加。GoPro内の販売台数のうち、6月はこの製品が約8割を占め、圧倒的人気を誇っている。
 

 この「GoPro HERO 5 Black」は、発売から約8か月が経過するが、販売台数も安定している。発売月(16年10月)の販売実績を「100.0」とした台数指数の推移では、ほとんどの月で「200.0」前後を維持し、17年6月には「327.9」まで上昇している(図2)。その一方で、平均単価は販売開始月から少しずつ下がり続け、8か月で4万5000円から3万9000円と割安感がででいる。需要増は単価の下げが作用しているといえるだろう。

 また、アクションカメラを取り扱うGoProにとっては、季節による影響は大きい。「GoPro HERO 5 Black」の販売台数指数が、5月の「204.6」から6月の「327.9」に急増しているように、近年の傾向では、アクションカメラが売れる時期は夏と冬に集中している。例年通りであれば、7月から8月にかけてさらにアクションカメラの販売台数は伸びるはず。メーカーシェアでも6月はパナソニック(31.4%)が僅差でトップだが、いまの勢いからGoProが首位に立つ可能性もある。アクションカメラの覇者から、DVC市場の主役になるのか。この夏のGoProの動向に注目したい。(BCN アナリスト 山口渉)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。