2026.10.31 15:00

スマホ・PC

FCCLが示した「日本の暮らしから考える」PC戦略、FMV 2026年冬モデルを発売

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 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は、FMV 2026年冬モデルとして5シリーズ11機種を10月23日から順次発売している。今回の新製品は、単なる性能向上ではなく「日本の暮らしから考える」という思想を前面に打ち出している。見えてきたのは、AI PC時代におけるFCCLの明確な差別化戦略だ。(BCN・佐相 彰彦)

FMV 2026年冬モデルを発売

3年連続シェアNo.1のFCCLが次に見据える市場

 発売に先立ち、FCCLは製品発表会を開催。発表会では、大隈健史社長が「FMVは2023年度~25年度の3年連続で店頭市場シェアNo.1を獲得。さらに25年度には国内コンシューマー市場で初のNo.1になった」とアピールした。

 一方、PC市場は大きな転換点を迎えている。Windows 10サポート終了による買い替え需要が続く一方、生成AIの普及によってPCは単なる作業ツールから「共に考え、つくり、表現するためのツール」へと役割を変えつつある。

 しかし、市場環境は決して楽観的ではない。メモリーやSSDの価格高騰など、部材コストの上昇も進んでおり、性能だけで勝負する差別化は難しくなっている。FCCLはその答えとして、「日本市場における顧客理解をもっと深める」(大隈社長)を掲げた。
 
大隈健史社長

キーワードは「日本の暮らし」

 発表会でFCCLは、「暮らしに合わせること」「心地よく使えること」「安心して長く使えること」という三つを設計思想に据えた。9万人以上の顧客の声を分析し、「日本の利用シーンを起点にした設計思想」という。

 これはCPU性能やAI性能を前面に打ち出す海外メーカーとは少し異なるアプローチといえる。FCCLの調査によると、日本では自宅内でもPCを移動させながら使う人が92.3%、部屋を移動して使う人が38.7%に上るという。この結果を踏まえ、FCCLは「高性能なPC」ではなく「日本人が快適に使えるPC」を商品企画の軸に据えた。

世界最軽量634gが象徴する「FMV Note U」

 その象徴が「FMV Note U」だ。14型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量(FCCL調べ)となる約634gを実現しながら、バッテリー駆動時間も向上。Intel、AMD、Qualcommの各プラットフォームを用意し、全機種でCopilot+ PCを展開する。FCCLでは満員電車、自転車移動、狭い住環境といった日本独自の利用シーンを想定し、約200kgfの全面加圧試験や独自品質試験を実施。「軽いけれど壊れやすい」ではなく、「毎日持ち歩ける安心感」が特徴だ。
 
FMV Note U

AI PC時代でも残した光学ドライブ

 もう一つ興味深いのが「FMV Note A」。AI PCへのシフトが進む中、FCCLは16型ノートPCで光学ドライブ搭載モデルを継続した。発表会では15型以上ノートPC購入者の68.3%が光学ドライブ搭載モデルを選択しているというデータを示した。多くのPCメーカーが光学ドライブを切り捨てる中で、FCCLは「過去と現在をつなぐ重要な機能」と位置付けている。
 
FMV Note A

学生市場への新たな投資

 また、FCCLは「Enter」と「GOOD CAMPUS LIFE Project」を始動している。Enterは、今年10月に始動した学研教育総合研究所と共同の新プロジェクトで、青山学院大学の益川弘如教授がアドバイザーを務め、「学生の今とその先を研究する」をテーマにAI時代の変化やデジタル技術・PCの正しい活用スキルについて調査・研究を実施。GOOD CAMPUS LIFE Projectは、忙しい大学生の「がんばる時間」を応援するプロジェクトだ。FCCLは学生を単なる購買層ではなく、「未来のユーザー」として捉えている。

AI PC時代にFCCLが目指すもの

 Copilot+ PCへの対応やNPU活用アプリの強化は各社共通ではあるものの、FCCLはその上で「持ち運びやすさ」「光学ドライブ需要」「学生の学び」など、日本ならではの課題を掘り下げている。「日本市場における顧客理解をもっと深める」という戦略は、AI PC時代におけるFCCLの重要な差別化要素になりそうだ。
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佐相 彰彦

Akihiko Saso

「週刊BCN」の記者として入社。その後、副編編集長に就任。編集管理と記事企画を担当する。現在は「BCN+R」の編集・記者として業務に従事。家電やITをベースに、スマホやPCをはじめ、周辺機器やサービスなどを取材している。

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