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「在宅・育児で買い出しも行けない」それダークストアが解決します 日本初専業スタートアップが1号店を開業

サービス

2021/09/01 19:35

 スーパーまで足を運び、必要な商品を選び、レジで決済し、購入したものを持ち帰る。店舗までの距離にもよるが平均して30分から1時間ほどだろうか。一連の“買い物”という行動に必要なコストは案外大きい。

国内でも始まったダークストアとは

 そんな中、買い物の常識を変えんとダークストアなるサービスの存在感が増しつつある。日本初のダークストア専業スタートアップOniGOの梅下直也社長は「食料品の買い物スタイルは長らく変わっていない。そこには解決されていない問題がある」と語気を強める。
 
梅下直也社長

目に見えない店舗の正体

 そもそもダークストアとは、ネットからの注文に特化した実店舗のこと。既存のスーパーなどが展開する宅配サービスとの違いは、実店舗でのテイクアウトに対応していないことが挙げられるだろう。一般的なスーパーとは異なり、店内に商品は保管されているものの、客が直接足を運ぶことはなく、外見上はストアに見えないことからダーク(表面からは見えない)ストアと呼ばれている。
 
OniGOのサービスの流れ

 ダークストアの利用者にとって一番のメリットは「買い物にかかるコストの削減」だろう。実店舗まで足を運ぶことで発生する「時間」と「労力」を削減できるわけだ。家事・育児で何かと忙しい子育て世代や、体力が低下している高齢者世代にとってはうれしいサービスだ。

 競合となるサービスはコロナ禍の発生以降普及が進んでいるフードデリバリーサービスや、大手スーパー各社が展開しているネットスーパーサービスだろう。フードデリバリーに対しては“自炊をしたいかどうか”という点で需要やターゲット層が異なってくるが、ネットスーパーに対しては基本的にサービス品質で差別化していくことになるとみられる。

OniGOの持つポテンシャル

 そんなダークストアだが、日本においても普及の兆しが見え始めた。OniGOはその動きの一つ。同社は8月25日、1号店を学芸大学に開業しサービスを開始。現時点で生鮮食品を含む1000SKU(ストックキーピングユニット:受発注や在庫管理での商品の最小単位。サイズや味が異なる場合なども別商品としてカウントする)ほどの品ぞろえを用意し、「10分で届く宅配サービス」をコンセプトに近隣住民に商品を届けている。近日中に酒類・薬類にも対応する予定だ。
 
取扱商品のラインアップ

 同社の特徴は300円という配送料金と最短10分の配送時間だ。この2点は非常に画期的で、大手各社の配送料金は330円前後で配送は2時間幅から選択することが多い。梅下社長は「時間がないから宅配スーパーを使うのに、数時間自宅にいなくてはいけないのは自由ではないという声をよく聞く」という。従来の宅配サービスは便利ではあるものの、ユーザーが本当に欲する水準まではあと一歩届いていなかったようだ。その点、OniGOの価格・時間設定は、類似するサービスの中でも圧倒的だと言える。
 
彼らのビジョンは人々の時間を作り出すこと

 中でも、配送時間の仕組みは配達可能エリアの設定にあるという。1号店のカバー範囲はおよそ半径1km。その基準は10分で配達できるかどうかで決めているといい、サービス品質ありきの方針であることがわかる。スタートアップとして即配のためのシステムを一から構築し、店舗内で接客をしない“ダークストア専業”だからこそ実現したサービス品質なのだろう。

 一方、現状で同社の課題は店舗数だ。今回同社が開設した1号店は学芸大学付近で、梅下社長は「マーケットリサーチの結果、都内において私共がコアターゲットとする比較的世帯年収が高く、子供が多い世帯が密集しており、坂が少ない地域が目黒区近辺だった」という。朝10時から夜10時までの12時間営業し、1時間あたり10件弱の配送、1日で100件前後の配送に対応できるという。需要があれば配送員を厚くすることもできると話すが、今後規模を拡大していくためには当然店舗数の拡大を視野に入れる必要がある。
 
今後の出店計画

 しかし、1店舗当たりの配達可能エリアが限られる業態であるだけに、対象地域を拡大するために必要な店舗数は競合よりも多くなる。今後1号店付近から徐々に店舗数を増やしていく考えで、1年後には100店舗まで増やしていく計画だという。