象印と東レ、日本電産の技術を結集した空気清浄機

新製品

2020/10/15 20:00

 象印マホービンは10月15日、床上30センチの空気を360度全方向から吸引・清浄して、本体の上部から天井に向けて大風量で吹き出す空気清浄機「PU-AA50型」のオンライン説明会を開催した。製品は10月1日から発売しており、価格はオープンで税別の実勢価格は4万5000円前後。


 象印では、新型コロナウイルス対策で換気をする家庭が増えており、花粉症の人にとっては窓を開けて換気すると花粉が入ってきてしまうため、空気清浄機が活躍するシーンは従来よりも増しているとする。また、花粉に限らず、PM2.5やハウスダストアレルギーなどが社会問題になる中、サイズ別では20畳以上の高性能タイプのニーズが高まっているという。

 PU-AA50型は従来の構造を根本から見直して、花粉やハウスダストが多いとされる床上30センチの本体部分に、360度取り巻くように大面積の高性能フィルターをレイアウト。本体上部からきれいな空気を天井に向けて吹き出す構造にした。
 

東レのフィルターと日本電産のプロペラファン

 フィルターには東レの高性能静電メルトブロー不織布「トレミクロン」を採用。セミダブルの掛け布団と同程度の3.4平方メートルの大面積で、一度に多くの汚れた空気を取り込める。フィルターは除菌フィルター、活性炭フィルター、高性能静電フィルターの3層構造になっており、カビや細菌を抑制したり、たばこやペットのニオイ、花粉やダニの死骸、PM2.5などをしっかりキャッチする。
 
東レの高性能フィルター「トレミクロン」を採用

 清浄性能は、適用床面積24畳に対応。毎分5.2立方メートルの大風量により8畳の部屋を12分で清浄できる。

 一方で、大風量の清浄パワーが増すことで気になるのが静音性と電気代。PU-AA50型は「二重反転プロペラファン」を日本電産と共同開発することで、この課題を解決した。

 吹き出し口に2枚のプロペラファンを設けて、それぞれが逆方向に回転する。これは航空機のプロペラや船舶のスクリューで使われている技術で、無駄なエネルギーの発生を抑えて、効率よく風を発生させる。1枚だとプロペラの回転に合わせて風も回転して分散してしまうが、2枚目のファンを逆方向に回転させることで直進性が増し、天井まで力強い風が届くようになる。
 

 またモーター径の小さいDCモーターを採用することで、回転数をキープしながら通風面積を確保できるようにした。これらの技術により、図書館の中と同程度の40dBを下回る39dBの静音性を実現。通常の空気清浄機の50dB前後よりも格段に静かにすることに成功した。

 合わせて、二重反転プロペラファンの採用で、最大運転時の消費電力10Wという圧倒的な省エネにつなげた。従来機種が50~60Wのところ、モバイルバッテリの出力である12W並みの省エネ性能だ。

 同社の従来機種「PA-XA」の強運転時の26Wの電気代と比較すると、年間で3784円の得になる。高性能フィルターは税別7000円なので、交換目安の2年なら7568円の浮いた電気代で交換できる計算だ。そもそも半年や1年で交換するケースが多い一般的な空気清浄機のフィルターと比べても、メンテナンス料は低く抑えられている。
 

 フィルター交換時も、背面のパネルを取ればそのまま簡単に取り出せる。また、コンパクトにたためるため、捨てる時も楽だし、輸送時のCO2削減につながるなど環境にも配慮している。
 
フィルター交換時は背面から簡単に取り出せる
 
コンパクトにたためる

 なお、加湿機能は次の理由であえて搭載していない。加湿用のフィルターが増えると清浄能力が低下するのと、構造が複雑になると手入れをする部品点数が増える。そして手入れを怠ってしまうとカビや悪臭の原因になるからだ。

 空気をきれいにする機器が、かえって空気を汚してしまうということにならないよう、象印では加湿する場合、スチーム式加湿器EE-DBの併用を推奨している。