アップルが当初予告していた発売日を前倒しする形で、iPad Proの新しい専用アクセサリーとなる「Magic Keyboard」を4月21日から順次出荷開始する。本機のハンズオンレビューを報告しよう。

iPad Pro専用の新しいアクセサリー「Magic Keyboard」。最新のMacBook Airと同じキーストローク
1mmのシザーメカニズムを採用するフルサイズキーボードが搭載された

2020年&2018年のiPad Proに対応する上位キーボードアクセサリー

 Magic Keyboardは2020年モデル、および2018年モデルのiPad Proに対応する専用アクセサリーだ。iPad本体のサイズに合わせて12.9インチと11インチのモデルを用意する。2018年にホームボタンのないフルスクリーンデザインのiPad Proが登場したとき、同時に発売されたSmart Keyboard Folioは販売を継続する。Magic Keyboardは本機の上位モデルという位置づけだ。税別販売価格は12.9インチが3万7800円、11インチが3万1800円だ。
 
2018年に発売されたシングルレンズのiPad Proにも対応している
 
Smart Keyboard FolioはMagic Keyboardの発売後も継続販売される
 
左がMagic Keyboard、右がSmart Keyboard Folio。
iPad Proを装着した状態で厚みを比べてみてもほぼ変わらない

 Magic Keyboardという名前のアップル純正製品は、iMacなど据え置き型のMacに対応するBluetoothワイヤレスキーボードとして先行して商品化されたものがすでにある。そして昨年11月に発売された16インチのMacBook Proや2020年3月に発売されたMacBook AirにもMagic Keyboardが搭載されている。

Macに迫る快適なキータイピング

 いずれのMagic Keyboardも正確で安定したキータイピングを実現するシザー構造を共通して採用する。iPad Pro専用Magic Keyboardはキーストロークが1mmのフルサイズキーボードで、キーピッチも十分に確保した。
 
フルサイズのキーボードとトラックパッドを搭載。
パームレストのスペースも十分に確保されている

 キーが底を打つときに指へ返ってくる反動をシザーメカニズムが和らげるので、特に長時間続けて文字を入力しても疲れを感じにくいところが魅力的。キーストロークが浅いキーボードだったSmart Keyboard Folioに比べると、打鍵感が良くなる実感がすぐにわいてくるはずだ。ドキュメント作成などキータイピングがメインの仕事での生産性向上が期待できる。

 なおMagic KeyboardにはiPad Proに搭載されているセンサーと連動して周囲の明るさを検知、暗い場所で光るLEDバックライトが搭載されている。筆者はイベントや発表会など会場が暗転する場所でiPad Proを使ってテキストを書く機会が多かったので、この機能をとても頼もしく感じている。
 
キーボードにはバックライトを内蔵

トラックパッドもiPadと好相性だった

 Magic Keyboardはトラックパッドも搭載している。2020年モデルのiPad Proと同時にリリースされた最新のiPadOS 13.4から、マウスやトラックパッドなど無線・有線のポインティングデバイスが利用できるようになった。Magic Keyboardはその機能を一段と使いやすくしている。iPad Proに装着した途端にトラックパッドとの接続が認識されて、画面にマウスポインタが表示されるので、非常に使い勝手がいい。

 iPadシリーズは画面のタッチ操作や専用のスタイラスペンであるApple Pencilによる入力にも対応しているのに、なぜいまさらマウスが必要なのかと思うかもしれない。ところが使ってみるとiPadとトラックパッドの相性がとても良いことがわかる。

 例えば、Webページのスクロールは2本の指でトラックパッドを上下にスワイプするとより速く、正確に操作できる。3本指でトラックパッドを下から上に向かってスワイプアップするとすばやくホーム画面に移動する。そこからさらに3本指によるスワイプアップを続けるとアプリスイッチャーの画面に切り替わる。3本指でトラックパッドを左右にスワイプすれば全画面表示のアプリをすばやく切り換えられる。
 
マルチフィンガージェスチャー操作がiPadOSのユーザーインターフェースとも相性がよい

 トラックパッドの左右スペースがパームレストとして確保されていることもキータイピングによる疲労感の軽減に結びついている。トラックパッドのサイズは横10cm×縦5cm前後。キータイピングの際に手のひらが触れて誤操作につながることも筆者の場合は少なかった。

個性的なフローティングスタイル

 Magic Keyboardはマグネットで装着したiPad Proを表と裏の両側から挟み込んでカバーするデザインとなっている。新しいiPad ProのトレードマークでもあるLiDARスキャナを搭載するマルチレンズカメラユニットの部分はきれいに切り欠いた。

 キーボードの面、iPad Proが乗る側の面は堅牢なアルミニウム製のジョイントでつながっている。Magic Keyboardを開いてから、iPad Proを装着する側のパネルを折り曲げて画面の角度を調節する。横から見るとiPad Proが浮いて見えるフローティングスタイルが個性的だ。
 
Magic Keyboardの個性的なフローティングカンチレバーが、
iPad Proが宙に浮いているようなポジショニングを実現する

 各ジョイント部がとても強固に作られているので、iPad Proを乗せた状態でぐらつくことはないし、パネルが後ろに倒れることもない。キーボード側のパネルが浮き上がってしまわないよう、パネルの開閉角度も最適なバランスに設計されている。
 
2枚のパネルにより構成される本体。
iPad Proを乗せる側のパネルも自立してぐらつかないしっかりとした構造になっている

 Magic Keyboardは、Smart Keyboard FolioやSmart Keyboardのように、iPadを装着したまま平置きにできる形にならない。Apple Pencilでイラストを描いたり、緻密な製図作業に移ったりする際には、iPad Proをいったん取り外す、あるいは外出時にはSmart Keyboard Folioの方を装着するなど、上手に使い分けたい。

USB端子が2基使えるようになるメリットも

 Magic Keyboard本体のジョイント左側面にはUSB Type-C端子が搭載されている。こちらにUSBケーブルを接続するとiPad ProにMagic Keyboardを経由してパススルー充電ができる。
 
iPad Proへのパススルー充電に対応するUSB端子を備えた

 iPad Pro本体のUSB Type-C端子も同時に使えるので、iPad Proを充電しながらUSBマスストレージデバイスからデータを読み込んだり、USB変換アダプターを介してヘッドホン・イヤホンを接続して音楽を聴くことも可能だ。アナログ接続のイヤホンを使えばiPad Pro本体、ワイヤレスイヤホンのバッテリー残量を気にすることなく、長時間のビデオミーティングや友人とのビデオチャットにも安心して参加できそうだ。

 Magic Keyboardが登場したことにより「iPadのキーボード」の品質はいよいよMacBookのレベルにまで到達した。2019年秋に発売されたスタンダードモデルのiPadがアップル純正のSmart Keyboardに対応したことで、ノートPCからiPadに乗り換えるユーザーも増加しているようだ。これからはiPad ProとMagic Keyboardの組み合わせが、いまプレミアムクラスにカテゴライズされているノートPCの地位を脅かすことになるだろう。(フリーライター・山本敦)